大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

旭川家庭裁判所 平成17年(家ロ)51号 決定 2005年9月27日

債権者 A

債務者 B

主文

1  債務者は、当庁平成15年(家)第○○○号婚姻費用分担申立事件の執行力ある審判正本に基づいて、この決定の送達を受けた日から7日以内に(ただし、次の(2)の金員のうち、この期間内に弁済期が到来しない部分については、それぞれ弁済期が経過するまでに)、債権者に対し、次の(1)及び(2)の金員を支払え。

(1)  47万5000円(ただし、平成17年2月分から同年6月分までの分)

(2)  平成17年7月から同年12月まで毎月末日限り9万5000円

2  債務者が、前項の期間内に前項(1)の金員の全額を支払わないときは、債務者は、債権者に対し、その翌日から支払済みまで(ただし、150日間を限度とする。)、1日につき3000円を支払え。

3  債務者が、第1項の期間内に第1項(2)の各月ごとの金員の全額を支払わないときは、債務者は、債権者に対し、各月分全額の支払いがされないごとに、第1項の期限の翌日から支払済みまで(ただし、30日間を限度とする。)、1日につき3000円支払え。

理由

1  本件記録(平成15年(家)第○○○号婚姻費用分担申立事件を含む。)及び債権者に対する審尋結果によれば、以下の事実が認められる。

(1)  債権者と債務者は、昭和51年12月7日に婚姻し、昭和52年×月×日に長男Cが、昭和54年×月×日に長女Dが、昭和55年×月×日に二男Eが、それぞれ出生した。

(2)  債権者は、平成15年7月に家を出て債務者と別居するようになり、同年8月6日、婚姻費用分担調停事件を申し立て、同年12月12日、同調停が不成立となり、平成16年2月20日、債務者が債権者に対し、平成15年8月から平成16年1月までの婚姻費用分担金57万円と平成16年2月から債権者及び債務者が離婚又は別居状態を解消するまで月額9万5000円の婚姻費用分担金を支払う旨の審判がなされた。

(3)  しかし、債務者は任意に婚姻費用分担金を支払わないため、債権者は、同年6月25日、平成15年8月から平成16年5月までの未払婚姻費用分担金を請求債権として、債務者が有限会社□□□(以下「□□□」という。)から支給される役員報酬及び賞与を差押え、同年9月10日、95万9520円(執行費用を含む。)の支払いを受けた。

(4)  その後も債務者は任意に婚姻費用分担金を支払わないので、債権者は、同年10月29日、平成16年6月から同年9月までの未払婚姻費用分担金及び同年10月以降の婚姻費用分担金を請求債権として、債務者が□□□から支給される役員報酬及び賞与を差押えた。また、債権者は、平成17年4月26日、□□□に対する取立訴訟を提起し、□□□に対し平成16年6月から平成17年1月までの婚姻費用分担金相当額76万円の支払いを命じる判決を受けたが、□□□が任意に支払わなかったため、同年5月26日、□□□の預金債権を差押え、同年6月1日、平成16年6月から平成17年1月までの婚姻費用分担金77万円(執行費用を含む。)の支払いを受けた。

(5)  債務者は、□□□の代表者である。現在の役員報酬額は不明であるが、別居開始時の役員報酬額は45万円であった。

2  以上の事実に基づいて検討すると、債務者はこれまで全く任意に婚姻費用分担金を支払っていないが、債権者が役員報酬及び賞与を差押え、さらには債務者が代表者である□□□に対する取立訴訟を通じて未払いの婚姻費用分担金が支払われたことからすると、債務者には審判によって定められた婚姻費用分担金の支払能力があると考えられるから、本件間接強制の申立てを認めるのが相当である。なお、間接強制金の額については、これまでの支払い状況等諸般の事情を考慮し、1日当たり3000円と定めるが、間接強制金の累積によって債務者に過酷な状況が生じるおそれのあることを考え、平成17年2月から同年6月までの婚姻費用分担金については150日間を、同年7月以降の婚姻費用分担金については、各月分ごとに30日間をそれぞれ限度とすべきである。

よって、主文のとおり決定する。

(裁判官 田尻克已)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例