大判例

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最高裁判所大法廷 昭和28年(マ)127号 判決

原告 岡井藤志郎

被告 国 外一名

一、主  文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事実及び理由

案件の判断に必要な範囲において事実を摘示すれば、本件訴は当裁判所が司法裁判所である以外に、始審で且つ終審として、一切の法律、命令、規則又は処分の憲法に適合するか否かを審判すべきわが国唯一の憲法裁判所たる性格をも有することを前提として提起されたものであることはその主張自体に徴して明らかである。しかしながら、わが現行法制の下にあつては、ただ純然たる司法裁判所だけが設置せられているのであつて、いわゆる違憲審査権なるものも、下級審たると上級審たるとを問わず、司法裁判所が当事者間に存する具体的な法律上の争訟について審判をなすため必要な範囲において行使せられるに過ぎない。すなわち憲法八一条は単に最高裁判所が司法裁判所として右違憲の審査をなすにつき最終審たるべきことを要請したに止まり所論のように、司法裁判所でない、違憲審査を固有の権限とする始審にして終審である憲法裁判所たる性格をも併有すべきことを規定したものと解すべきではない。この見解の維持せらるべき所以は、さきに当裁判所が昭和二七年(マ)第二三号事件の判決において示したとおりであり、これと反対の見地に出でた原告の所論には賛同するを得ない。

されば本件訴は、現行法制上認められていない憲法裁判所なるものを想定の上、当裁判所がその憲法裁判所に該当し、しかもその憲法裁判所の所管すべき事案として提起せられたことに帰するのであるが、現行法制上司法裁判所としてのみ認められている当裁判所においては、かかる訴はこれを不適法として却下せざるを得ないのである。

よつて民訴二〇二条、八九条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

(裁判官 田中耕太郎 霜山精一 井上登 栗山茂 真野毅 小谷勝重 島保 斎藤悠輔 藤田八郎 河村又介 谷村唯一郎 小林俊三 本村善太郎 入江俊郎)

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