大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所大法廷 昭和29年(あ)2970号 判決 1958年2月12日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人梅山実明の上告趣意第一点について。

所論違憲の主張は原審で主張、判断を経ていない事項であるのみならず、本件事犯とその量刑に鑑みるとき、所論の実質は単なる量刑不当の主張に帰し、上告適法の理由とならない。

同第二点について。

銃砲刀剣類は、殺人、傷害等の用に供せられる危険物であるから、銃砲刀剣類等所持取締令は、かかる犯罪を未然に防止するため原則としてこれら物件の所持を禁止し、もって国民の生命財産の安全を期する目的をもって制定せられたものであり、右、所持を原則して禁止した同令二条は社会公共の福祉保持のため必要な規定と解すべきであるから、同条は何ら所論憲法二九条に違反するものではない。所論はひっきょう独自の見解であって到底採用できない。

よって刑訴四〇八条に従い、裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 入江俊郎 裁判官 垂水克己 裁判官 河村大助 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 奥野健一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例