最高裁判所大法廷 昭和34年(す)183号 決定 1959年6月25日
主文
本件忌避の申立を却下する。
理由
本件忌避申立の理由は、末尾添付のとおりである。
しかし、本件弁護人の数の制限は、本件各被告事件が刑訴規則二五四条の跳躍上告にかかる事件であって同二五六条により優先審判を必要とするものと認められるところ、右事件が第一小法廷に係属中同小法廷の合議により本件の審判を迅速に行うため刑訴三五条、刑訴規則二六条に基きなされたものであるから、被告人の弁護人選任権又は弁護人の弁護権を不当に制限したものということはできない。また、最高裁判所のした決定に対しては特別抗告の申立は許されないのであるから、所論特別抗告の申立を不適法として棄却したのは、法律上当然の措置である。従って右のいずれの場合においても、斎藤裁判官に不公平な裁判をする虞があると認められる事由は何ら存在しない。その他の申立書記載の事実については、仮にその事実があったとしても、右は同裁判官が事件の進行について希望又は意見を述べたに過ぎないものと認められるから、同裁判官が事件につき予断をいだき、不公平な裁判をする虞があるものということはできない。
よって、本件忌避の申立は理由がないから、裁判官全員一致の意見により、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村又介 裁判官 入江俊郎 裁判官 池田 克 裁判官 垂水克己 裁判官 河村大助 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 奥野健一 裁判官 高橋 潔 裁判官 高木常七 裁判官 石坂修一)