大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所大法廷 昭和23(れ)662 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

弁護人牧野内武人、同田村五男の上告趣意第一点について。

「原審第三回公判調書中、弁論の更新に関する部分には、「被告人」と記載せら

れて、「被告人等」とも、「被告人両名」とも記載せられていないことは所論のと

おりであるが、「被告人」とは必ずしも、所論のように、単数の被告人のみを指す

とは限らないのであつて、同公判調書の冒頭には被告人A、同Bの氏名が掲記せら

れてあり、右両被告人が同公判に出廷したことも、右調書上、あきらかであるから、

同調書にいわゆる「被告人」は特に右両被告人のいずれをも個別していない以上、

右両被告人を総称するものと解するのが相当である。また、公判調書が、他の公判

調書の記載を引用して、その内容としている場合には、その両個の調書を対照しな

ければ、その記載内容を知ることのできないのは当然であつて、原審第三回公判調

書を、同調書が引用した第二回公判調書と対照すれば、被告人A、同Bの両名が、

原審第三回公判に出廷して、右両被告人は、それぞれ、第二回公判調書の記載と同

趣旨の陳述をしたことは、明瞭である。従つて、原審第三回公判における弁論更新

の手続には、所論のような違法は認められないのである。論旨は理由がない。

同第二点について。

原判決が被告人Aに対する物価統制令違反の罪、および被告人両名に対する食糧

管理法違反の罪を認定する証拠として、各被告人の原審公判における判示同趣旨の

供述のみを挙げていることは所論のとおりであるが、当該公判廷における被告人の

自白は憲法第三八条第三項、刑訴応急措置法第一〇条第三項の自白に含まれないこ

とは、当裁判所の判例とするところである。(昭和二三年七月二九日言渡、同年(

れ)第一六八号大法廷事件判決参照)よつて、論旨は理由がない。

- 1 -

以上のごとく、本件上告は理由がないから、刑事訴訟法第四四六条により、主文

のとおり判決する。

右は、論旨第二点に関する裁判官、塚崎直義、沢田竹治郎、井上登、栗山茂の少

数意見(前掲大法廷事件判決参照)を除いて、裁判官全員一致の意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二三年一一月一〇日

最高裁判所大法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 井 上 登

裁判官 栗 山 茂

裁判官 真 野 毅

裁判官 島 保

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 河 村 又 介

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!