大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所大法廷 昭和25(オ)163 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

参加によつて生じた訴訟費用は参加人の負担とする。

理 由

上告人及び補助参加人の上告理由は末尾添附の別紙記載のとおりである。

論旨は、本件買収の無効を主張する点もあるが、原審において主張判断のない事

項であるから、適法な上告理由とすることはできない。論旨はまた、上告人の所有

していた本件農地の買収対価が憲法二九条三項の「正当な補償」にあたらないとし

て、その増額を求めるのであるが、記録に徴するに、右買収対価が自作農創設特別

措置法六条三項本文によつて定められていることは明らかであり、そして右条項の

規定する買収対価が憲法二九条三項にいわゆる「正当な補償」にあたるものと解す

べきことは当裁判所の判例とするところであるから(昭和二五年(オ)第九八号、

同二八年一二月二三日大法廷判決参照)、論旨は理由がない。

論旨はなお、諸般の事情を述べて、自作農創設特別措置法によつて本件買収対価

を増額すべき旨を主張しており、同法六条三項但書は、増額しうべき場合を定めて

いるが、上告人主張の事実は、右但書にいわゆる「特別の事情」に当らないもので

あることは原審の判断のとおりであるから、論旨はこれを採用することができない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条、九四条に従つて主文のとおり判決する。

この判決は裁判官井上登、同真野毅、同斎藤悠輔、同岩松三郎の正当な補償に関

する少数意見を除き、裁判官全員一致の意見によるものである。

裁判官井上登、同真野毅、同斎藤悠輔、同岩松三郎の少数意見は前記当裁判所大

法廷判決の少数意見のとおりである。

最高裁判所大法廷

- 1 -

裁判長裁判官 田 中 耕 太 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 栗 山 茂

裁判官 真 野 毅

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 島 保

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 河 村 又 介

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 池 田 克

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!