最高裁判所第一小法廷 平成3年(あ)13号 決定 1992年9月25日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人大藏敏彦外三名の上告趣意のうち、違憲をいう点は、その実質は単なる法令違反の主張であり、判例違反をいう点は、所論引用の各判例は所論の趣旨を判示したものとはいえないから、所論は前提を欠き、その余の点は、事実誤認の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。
なお、火薬類について譲受けの許可を受け、これを適法に所持していた者が、その火薬類を消費し、若しくは消費することを要しなくなった場合において、なお火薬類の残量があるのに、これを遅滞なく譲り渡し、又は廃棄する措置をとらず、その後もその所持を継続するときは、たとえ、いずれ譲渡又は廃棄をする意思が存するときであっても、もはや火薬類取締法二一条八号の除外事由には該当せず、同条違反の罪が成立すると解するのが相当であって、これと同旨の原判断は、正当である。
よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官大堀誠一 裁判官橋元四郎平 裁判官味村治 裁判官小野幹雄 裁判官三好達)