大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 平成3年(オ)866号 判決 1991年9月19日

上告人

山見徹

右訴訟代理人弁護士

大口昭彦

被上告人

炭研精工株式会社

右代表者代表取締役

永井彌太郎

右訴訟代理人弁護士

八代徹也

右当事者間の東京高等裁判所平成二年(ネ)第八九七号地位確認等請求事件について、同裁判所が平成三年二月二〇日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人大口昭彦の上告理由について

原審の適法に確定した事実関係の下において、本件解雇を有効とした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。原審は、上告人が二回にわたり懲役刑を受けたこと及び雇い入れられる際に学歴を偽ったことが被上告会社就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するとした上、上告人のその他の言動を情状として考慮し、本件解雇が解雇権の濫用に当たらない旨を判示しているのであって、上告人が「既成の社会秩序を否定する考え」等を有するということをもって本件解雇を正当化しているものではないから、憲法一九条違反をいう所論は、その前提を欠く。また、所論は憲法二五条、二八条違反をもいうが、その実質は単なる法令違背を主張するものにすぎず、原判決に法令違背のないことは、右に述べたとおりである。論旨は、採用することができない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大内恒夫 裁判官 四ツ谷巌 裁判官 大堀誠一 裁判官 橋元四郎平 裁判官 味村治)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例