大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 平成8年(オ)983号 判決

上告人

株式会社アイチ

右代表者代表取締役

森下安道

右訴訟代理人弁護士

野島潤一

被上告人

株式会社三和銀行

右代表者代表取締役

枝実

右訴訟代理人弁護士

小沢征行

秋山泰夫

香月裕爾

香川明久

露木琢磨

吉岡浩一

宮本正行

北村康央

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人野島潤一の上告理由について

配当期日において配当異議の申出をしなかった一般債権者は、配当を受けた他の債権者に対して、その者が配当を受けたことによって自己が配当を受けることができなかった額に相当する金員について不当利得返還請求をすることができないものと解するのが相当である。けだし、ある者が不当利得返還請求権を有するというためにはその者に民法七〇三条にいう損失が生じたことが必要であるが、一般債権者は、債務者の一般財産から債権の満足を受けることができる地位を有するにとどまり、特定の執行の目的物について優先弁済を受けるべき実体的権利を有するものではなく、他の債権者が配当を受けたために自己が配当を受けることができなかったというだけでは右の損失が生じたということができないからである。

以上と同旨の原審の判断は正当として是認することができ、論旨は採用することができない。

よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官大出峻郎 裁判官小野幹雄 裁判官遠藤光男 裁判官井嶋一友 裁判官藤井正雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!