最高裁判所第一小法廷 平成6(あ)1195 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人高橋美成の上告趣意のうち、死刑に関して憲法一三条、三六条違反をいう
点は、死刑制度がこれら憲法の各規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁
昭和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一
頁)とするところであるから、理由がなく、憲法三八条違反をいう点は、被告人の
自白が原判決の是認する第一審判決挙示のその余の証拠により十分補強されている
ことは明らかであるから、前提を欠き、その余は、単なる法令違反、事実誤認、量
刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。
被告人本人の上告趣意のうち、憲法三八条違反をいう点が前提を欠くことは前記
のとおりであり、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑訴法四
〇五条の上告理由に当たらない。
また、所論にかんがみ記録を調査しても、同法四一一条を適用すべきものとは認
められない(第一審判決が被告人を死刑に処した同判示第二、第三、第五ないし第
八の各罪についてみると、そのうち第二の犯行は、先に被告人とともにAを殺害し
て債務の返済を免れたBがこれを他言するのではないかと危ぐし、同人を殺害して
禍根を断とうと考え、昭和四八年七月二一日ころ、埼玉県熊谷市の同人方において、
ダルマジャッキで頭部等を数回強打して同人を殺害した殺人の事案であり、第三の
一及び二の各犯行は、Cが多額の預金をしていることを知り、同人を殺害してその
預金通帳等を奪おうと企て、昭和四九年二月二二日ころ、同人を同県大里郡のa河
州敷に連れ出して、石塊で頭部を数回殴打するなどして殺害し、預金残高三一三万
円余りの普通預金通帳一冊等を強取して、熊谷市の砂利採取場跡地に死体を遺棄し
たという強盗殺人及び死体遺棄の事案であって、動機に同情の余地はなく、犯行態
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様は残虐、非道であり、結果も極めて重大である。しかも、被告人は、第一審判決
判示第一の強盗殺人を犯してからわずか二年余りの間に相次いで同判示第二、第三
の各犯行を犯したものであり、人命軽視も甚だしいといわなければならない。以上
に加え、遺族らの被害感情、右各犯行が社会に与えた影響、さらに、被告人が、昭
和四八年一〇月から昭和五〇年五月にかけて、同判示第五ないし第八のとおり、共
謀の上、あるいは単独で、有印私文書偽造・同行使・詐欺五件、恐喝未遂一件、恐
喝幇助一件を敢行しているところ、これらについても格別酌量すべき事情はないこ
となどを考慮すると、被告人の罪責は誠に重く、原判決が維持した第一審判決の死
刑の科刑は、やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。)。
よって、同法四一四条、三九六条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとお
り判決する。
検察官大塚清明 公判出席
平成一一年二月二五日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 小 野 幹 雄
裁判官 遠 藤 光 男
裁判官 井 嶋 一 友
裁判官 藤 井 正 雄
裁判官 大 出 峻 郎
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