最高裁判所第一小法廷 昭和24年(新れ)232号 判決 1950年3月30日
主文
原判決を破棄する。
本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
理由
職権を以て調査するに、刑訴四三條一項により原判決の基礎となった原審第一回公判に列席した裁判官は、裁判長判事杉浦重次、判事若山資雄及び同白木伸の三名であること記録上明白である。しかるに刑訴規則五四條、五五條による原裁判書を見るに、原判決をした裁判官は、裁判長判事杉浦重次、判事若山資雄、同影山正雄の三名である。従って、原審審理に関与しなかった判事影山正雄が原審判決に関与したこととなるわけで、かくのごときは判決に影響を及ぼすべき法令の違反があるものといわなければならない。
よって、当法廷は、刑訴四一一條に従い原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認め、弁護人我妻源二郎の上告趣意に対し判断するまでもなく、原判決を破棄すべきものとし、同四一三條に則り主文のとおり判決する。
この判決は、裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎)