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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(あ)334号 判決 1953年12月17日

本籍

尾道市尾崎町一七二番地

住居

同市筒湯町一七九番地

会社員

本田政巳

当三六年

右に対する臨時物資需給調整法違反被告事件について、昭和二四年一二月一五日広島高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人渡部利佐久の上告趣意第一点は憲法三八条三項違反を言うけれども、第一審判決は、被告人の第一審公判廷における各種油の立数を除くほか判示同旨の供述と証人堺本幸蔵の同公判廷における右立数に関する同旨の供述及び副検事の奥本銀蔵に対する供述調書を綜合して判示事実全体を認定したものであつて、右堺本の証言、就中奥本の供述記載は、被告人の自白を補強するに充分であることが認められるから、所論は、採用し難い。

同第二点は、単なる訴訟法違反の主張であり(第一審の公判調書によれば、第一審の裁判官が職権を以て所論証人を喚問する旨の決定をするについて検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなかつたことは所論のとおりであるが、検察官及び被告人又は弁護人はこれに対し何等異議の申立をした形跡はなく、却つて、右証人尋問の際、検察官及び弁護人は自ら進んで右証人の尋問をもしていることが認められるのであるから、前記違反は、該証言を証拠とすることに影響を及ぼさないことが明白である。)、同第三点は、事実の認定又は量刑の非難を出でないものであつて、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎)

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