大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)3474号 決定 1953年2月12日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人森信一の上告趣意(後記)一は、憲法三七条二項違反とはいっているが、その実質は、事後審である原控訴審の裁量に属する証拠調の範囲、限度を非難するに過ぎないものであり、同二は、判例違反とはいっているがその判例を具体的に示していないばかりでなく、その実質は単なる訴訟法違反の主張であり、同三も判例違反とはいっているが所論挙示の判例は当該事案における量刑理由を判示しただけで他の事案に適用すべき法律的見解を含んでいないのであるから、判例違反の対象となり得ない不適切な判例であり、従って、その前提において首肯し難いから、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また所論四は、刑訴四一一条一号乃至三号の事由があるというが記録を精査してもかかる事由を認め難く、従って、本件においては、同条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により主文のとおり決定する。

この決定は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例