大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(オ)357号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔要旨〕賃借人がその義務に違反して賃借物に変更を加えても、賃貸人は、賃借人に対し原状回復を求めることはできない。

〔説明〕家屋の賃借人が契約の目的に反する造作を施したり家屋を損壊したりした場合に、賃貸人はその原状回復を請求することができるか? この場合賃貸人には損害賠償請求権はあるが原状回復請求権はないというのが大体通説で、本判旨も右通説的見解を表明したものである。

事案は、被上告人(賃借人)が賃借家屋の柱や壁を一部壊してシヨウウインドを造作したのは賃借物の保管義務(民法四〇〇条)に違反するとして上告人(賃貸人)から原状回復を請求し、被上告人(賃借人)がこれに応じないため賃貸借契約が解除されたこと等を原因とする家屋明渡請求事件であるが、原審は、右造作によつてむしろ家屋の価値が増加し、また家屋明渡の際には容易に原状に復することもできるから、被上告人には民法六一六条、五九四条または四〇〇条所定の賃借人の義務の違反はなく、したがつて上告人は解除権を有しないとの理由で、上告人の請求を排斥した。そこで上告理由は右造作が義務違反であることを強調したが、最高裁は、義務違反か否かには触れず、要旨のような理由で上告人の請求は結局採用できないとして、原判決を維持したものである。

しかし、本判旨に対しては、原状回復請求権を認むべしとする反対論も十分なりたちうるのであつて(昭和二七年四月二五日第二小法廷判決の藤田裁判官補足意見、民集六卷四号四五一頁参照)、その当否はなお検討の余地があると思う。

(青山調査官)

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