最高裁判所第一小法廷 昭和27年(あ)59号 決定 1953年5月07日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人新家猛、同坂野滋の上告趣意第一点について。
所論は、違憲をいうが、その実質は、原判決が原審弁護人の控訴趣意に対し与えた「所論検察官に対する被告人の供述が被告人の任意の自白でないとの所論は、記録に現われている全資料に徴してもこれを肯認し難い。」との判断を非難するに過ぎないものであって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
同第二点について。
原判決に関与した裁判長判事吉村国作は、本件差戻前の控訴審における差戻判決に関与した裁判官であることは所論のとおりである。しかし、かかる関与が刑訴二〇条七号の場合に当らないことは、その法文上明白であり、その他同裁判官に同条の除斥事由のあることは認められない。従って、所論は、その前提を欠くものというべく、同四〇五条の上告理由に当らない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)