最高裁判所第一小法廷 昭和28年(あ)1180号 決定 1953年10月22日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人永田彦一郎の上告趣意第一点は、単なる法令違反の主張であり、(覚せい剤取締法二条二号によれば、「覚せい剤製造業者とは、覚せい剤を製造し、且つその製造した覚せい剤を覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者に譲り渡すことを業とすることができるものとして、この法律の規定により指定を受けた者をいう。」とあるから、同法にいわゆる製造とは広義であって、覚せい剤の原料から化学的方法により覚せい剤を製出し又は化学的変化を伴わないで調合又は混合してこれを製剤する場合は勿論かかる製品を小分して容器に納め封緘を施し覚せい剤の施用機関又は研究者に譲り渡すに適する状態に製作する場合をも含むものと解するを相当とする。されば、原判決には所論の法令違反は認められない。)、同第二点は、事実誤認の主張であり、同第三点は量刑の非難で、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野 毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)