大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和28年(あ)2781号 判決 1953年11月19日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人大島正義の上告趣意第一点は、事実誤認並びにこれを前提とする法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。同第二点は、違憲をいうが、現行の死刑制度が憲法に違反しないものであることは、当裁判所大法廷屡次の判例(判例集二巻三号一九一頁以下、同五巻五号九二三頁以下、同六巻一号一〇四頁以下参照)の趣旨とするところであり、且つ、犯罪の種類、方法等によっては、いまなおこれを必要とするものであって、右判例を変更すべきものとは思われないから、所論は採用できない。同第三点は、量刑の非難であって、同四〇五条の上告理由に当らない。そして、この点に関する原判決の説示は正当であって、当裁判所においても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。

被告人の上告趣意一は単なる法令違反の主張であり(被告人が本件犯行当時満二十才に満たなかったことは、所論のとおりであるが、罪を犯すとき十八才以上であり、且つ、第一審判決当時満二十才以上であったことも記録上明白であるから、所論の法令違反は認められない。)同二は、結局量刑の非難で、いずれも、同四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例