最高裁判所第一小法廷 昭和28年(あ)879号 決定 1956年2月02日
本籍
大分県西国東郡真玉村一八二四番地
住居
東京都港区芝白金三光町二六三番地
会社員
下ノ村勗
明治三三年三月二五日生
右に対する業務上横領被告事件について、昭和二七年一二月一二日大阪高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。
主文
本件上告を棄却する。
理由
被告人下ノ村勗の弁護人並木俊守の上告趣意は、単に再審理由があるというのであつて適法な上告理由と認め難い(所論の岡崎公宏は第一審において下ノ村社長の就任した事情を立証するため、証人申請があつたが、却下されたものであり、また所論の指方康長は、すでに証人として採用されたものであり、両人の供述書は原審の判決後の作成にかゝるものであつて、刑訴四三五条六号の無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したときというのに当らない)。
弁護人前堀政幸、同並木俊守の上告趣意第一点は、判例違反をいうが判例を具体的に示さないから不適法であり、所論及び第二点はいずれも単なる訴訟法違反の主張に帰し第三点は事実誤認の主張であり、いずれも、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)