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最高裁判所第一小法廷 昭和28年(あ)882号 判決 1954年12月23日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人当別当隆治の上告趣意第一点について。

すでに占領軍軍事裁判所の裁判を経たる事実について、重ねてわが裁判所で処罰しても、憲法三九条に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例とするところであるから(判例集七巻一六二一頁以下参照)、所論違憲の主張は、採用できない。また、占領軍軍事裁判所の裁判権はわが国の裁判権にもとずくものでないことは、右大法廷の判例の示すところであるから、占領軍の確定軍事裁判があったからといって、刑訴三三七条一号にいわゆる確定判決を経たときとはいえない。従って、同条違反の主張も採ることができない。

同第二点について。

刑法五条但書の規定に基く刑の執行の減軽又は免除については、刑訴法にその手続規定を欠くけれども、刑法中の未決勾留日数の本刑への算入、罰金、科料の換刑処分等と同様に、事実審裁判所が刑の言渡と同時に判決でその言渡をしなければならないものと解するを相当とする。されば、原判決には、所論の法令違反を認めることができない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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