最高裁判所第一小法廷 昭和31年(オ)290号 判決 1956年7月19日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告理由第一点について。
投票の効力に関する当事者の主張は、事実そのもののみの主張ではなく、法律の解釈適用に関する主張をも含むものであるから、裁判所は当事者の主張に拘束せられることなく、その効力の判断をなしうることは原判示のとおりであつて、所論は採るを得ない。引用の判例は本件に適切でない。
同第二点乃至第四点および追加上告理由第一点、第二点について。
所論の各投票を有効とした原審の判断は相当であつて、所論の違法は認められない。
同第五点乃至第七点及び追加上告理由第三点について。
原審は、所論打点のなされた三場合のいずれの場合も、意識的に何事かを記載したものではなく他事記入に当らないと認めているのであり、その判断は当審においても肯認することができる。従つて、原審が右三場合の分類につき所論のような説明をしていないことは、判決の結果に影響を及ぼすこと明らかな法令違背ということはできないから、適法な上告理由に当らない。また判例違反を主張する論旨は、右原審の認定に副わない事実を前提とするものであつて、採るを得ない。
同第八点及び追加上告理由第四点について。
原判決に所論の違法の認められないことは上記各論点に対する説示のとおりである。それ故所論は採るを得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)