大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和32年(オ)1008号 判決 1959年6月18日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人中島長作の上告理由第一点、第三点について。

原審は、本件土地の賃料の支払につき認定した事実関係の下においては、本件契約解除に関する特約は、契約の当初においては有効に成立したとしても、その後の当事者間の賃料支払の慣行によつて暗黙のうちに改定され失効したものと判断しているのであつて、所論のように賃料支払の履行遅滞を正当行為であると判断しているのではない。そして、右特約が改定され失効したものであるとの原審の前記判断は、挙示の証拠により是認することができる。それ故所論は判示に副わない主張を前提として原判決を非難するに帰し採るを得ない。

同第二点について。

原判決は、本件和解は無権代理の行為であつても判示のような事実関係の下では上告人はその効力を否定できないとの趣旨を判示した第一審判決を引用しているであるから、原判決には所論の違法は認められない。(なお、右第一審判決の判断は当裁判所もこれを正当と認める。この点に関しては、昭和二年三月二二日及び昭和九年九月一〇日の各大審院判決、民集六巻一〇六頁及び同一三巻一七七七頁参照)

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例