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最高裁判所第一小法廷 昭和32年(オ)499号 判決 1959年9月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士勅使河原直三郎の上告理由第一、二点について。

しかし、上告人所有の旧宅地につき本換地処分手続が終了したと云つても、その換地である所論宅地は、都市計画法一二条の準用する耕地整理法一七条により従前の土地と看做されるというだけのものであつて、特別都市計画事業の執行者である被上告人知事に右換地を上告人に現実に引渡す義務を負担させるものではないから(換地処分は事業執行者が一旦土地の占有を取得してから再配分する手続ではなく、土地所有権の目的物を公権的に変更する観念的な手続に過ぎない。)、上告人において、右換地上に存する所論建物の収去並びに右土地の引渡を右建物の所有者であり土地の占有者である者に求めるは格別として、被上告人知事にこれを求めるのは謂れない筋合であるとした原判決の判断は正当であり、また、被上告人知事に右のような義務のない以上これが不履行に因る損害が発生しているという所論主張もこれを是認するに由ない次第である。

所論る述の要旨は叙上と相容れない独自の見解に立脚するものであつて、採るを得ない。なお、原判示中司法裁判所の権限に属しない云々の点はあらずもがなの無用の措辞と解するを相当とするが故に、この点に関する所論についてはここに説明を加えない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 高木常七)

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