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最高裁判所第一小法廷 昭和33年(オ)106号 判決 1960年4月21日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

しかし原(並びに原判決の引用した第一審)判決が、登記官吏は当該申請書及び附属書類について、登記申請が形式上の要件を具備しているかいないかのいわゆる形式審査をなし得るにとどまり、進んでその登記事項が真実であるかどうかのいわゆる実質的審査までする権限を有するものではないとしたこと、そして本件各登記申請は、不動産登記法及び同法施行規則に定める形式上の要件を具備するから(挙示の証拠によればこの事実認定は首肯できる)、これに基いてなした本件各登記処分には何らの不当も違法もないとしたことはいずれも正当である。所論の事情の有無は、原判決の結論に何ら影響を及ぼすものでないから、原審がそれら事実の有無につき審理判断しなかつたからとて違法であるとはいえない。

なお違憲の主張は原判決に影響を及ぼさない事項に関するものであるから採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高木常七 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)

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