最高裁判所第一小法廷 昭和33年(ク)118号 決定 1958年5月29日
主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
審級制度をいかにすべきかについて、憲法は八一条以外なんら定めるところがなく、同条所定の点以外の審級制度は法律の定めるところに委ねられていると解すべきでり、このことは当裁判所大法廷の判例とするところである(昭和二三年三月一〇日言渡、刑事判例集二巻一七五頁、昭和二九年一〇月一三日言渡、民事判例集八巻一八四六頁参照)。したがつてこの趣旨に照らし、原裁判所が民訴四一九条ノ三、四〇九条ノ三、三九九条の規定により、特別抗告の申立が違憲の主張を理由とするものであるか否かの点のみの判断をしても、憲法三二条に違反するものではない。その他の論旨は、違憲に名を藉りて単なる法令違背の主張をなすにとどまる。されば所論はすべて採用できない。
よつて、抗告費用は抗告人の負担とすべきものとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫)