最高裁判所第一小法廷 昭和35年(あ)1102号 決定 1961年3月02日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人原田香留夫、同岡田俊男、同江島晴夫の上告趣意第一点は事実誤認の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
同第二点は違憲をいうが、所論は原判示に副わない事実関係を前提とするものであって、採るを得ない。(原審の認定した事実関係の下においては、本件行為を二個の誣告罪にあたるものとして併合罪の規定を適用した第一審判決を是認した原審の判断は正当である。)
被告人本人の上告趣意第一点は違憲をいうが、実質は単なる訴訟法違反の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(原審の是認した第一審判決は、所論謄本を誣告の犯罪事実認定の証拠として採用したものではないから、右謄本の真否は、本件犯罪の成否には影響がない。)
同第二点は事実誤認の主張であり、同第三点は、判例違反をいう点は原判決に対する攻撃ではなく、その余は単なる訴訟法違反の主張を出でないものであって、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)