最高裁判所第一小法廷 昭和35年(あ)970号 決定 1961年3月23日
主文
本件各上告を棄却する。
理由
被告人東栄商事株式会社及び同安原圭佐の弁護人大井勝司の上告趣意は量刑不当の主張であり、
被告人狩野藤吉の弁護人中村幸逸の上告趣意第一点は違憲をいうが、その実質は単なる法令違反の主張を出でないものであり、(関税法一一八条二項にいう「犯罪が行われた時」とは「同条第一項に規定する各罪につき当該犯罪が行われた時」と解すべきである)
同第二点は判例違反を主張するが、所論の点につき原判決の挙示した証拠は所論証人大野虎夫の作成した「昭和三〇年一二月五日附及び同月二六日附犯則物件鑑定書中外国産こんにゃく粉に関するものであって、原判決に(鑑第一六九号及び同第一八三号)とあるは(鑑第一六九号及び同第一八四号)の誤記であることが明らかであるから、所論は前提を欠くものであり、被告人梁還承の弁護人池内判也の上告趣意第一点は違憲をいうが、実質は事実誤認、単なる訴訟法違反の主張を出でないものであり、
同第二点は量刑の非難であり、
被告人渡辺喜弘の弁護人大井勝司の上告趣意は事実誤認、単なる法令違反の主張を出でないものであって、
以上いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
よって、同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 高木常七)