大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和39年(オ)838号 判決 1967年6月22日

上告人 株式会社協和銀行

被上告人 国

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人藤林益三、同島谷六郎、同山本晃夫の上告理由第一について。

上告人銀行行員に本件三〇〇〇万円の金員を預金として受入れる意思のないことを訴外福田利明が知らなかつた旨の原審の事実認定は原判決挙示の証拠によつて肯認できないものではなく、右認定の過程に所論の違法はない。所論は原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するもので、採るを得ない。

同第二について。

所論の点に関する原審の事実認定はその挙示の証拠に照らし肯認できないものではなく、右認定の事実関係のもとにおいて原審が上告人銀行の使用人である柴田が、その担当業務を行うにあたり、真実預金として受入れる意思がないに拘らず訴外福田利明において真実預金として受入れられるものと誤信して交付した三〇〇〇万円の小切手を騙取したとして、上告人銀行には民法七一五条一項により右訴外福田に対しその蒙つた損害を賠償する責任があるとした判断は正当として首肯することができる。原判決には所論の違法はなく、所論は、原審の認定にそわない事実を主張して原審の判断を非難するに帰し、採用できない。

同第三について、

原審認定の事実関係のもとにおいては、訴外川村哲が訴外福田利明に貸付けた金員が、右訴外用村において元鉱工品貿易公団の金員を横領したものであるとしても、右訴外川村の訴外福田に対する右金員の貸付が不法原因のため給付したものとなるとは解せられない。したがつて、右訴外川村は訴外福田に対し右貸金の返還請求権があるとした原審の判断は正当である。また、原判決理由の冒頭の所論前記公団は、訴外川村哲に対し、有する損害賠償請求権は金四九五万四九一四円であるとの判示は、金四九五万四九一四円の誤記であること原判決を通読すれば明らかである。論旨は理由がない。

よつて民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判官 岩田誠 入江俊郎 長部謹吾 松田二郎 大隅健一郎)

上告理由書<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例