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最高裁判所第一小法廷 昭和42年(オ)820号 判決 1968年1月25日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人木田好三の上告理由一、二について。

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯でき、その認定の過程に所論違法はない。右認定による原判示の事実関係のもとにおいては、所論賃貸借契約書中に記載された「入居後の大小修繕は賃借人がする」旨の条項は、単に賃貸人たる上告人が民法六〇六条一項所定の修繕義務を負わないとの趣旨であつたのにすぎず、賃借人たる被上告人が右家屋の使用中に生ずる一切の汚損、破損個所を自己の費用で修繕し、右家屋を賃借当初と同一状態で維持すべき義務があるとの趣旨ではないと解するのが相当であるとした原判決の判断は、正当である。原審が右判断をなすにつき、所論乙第六号証の二に記載された約旨をも考慮していることは、その判文に照らして明らかであつて、原判決には、所論違法はない。論旨は、ひつきよう、原判決を正解しないか、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、すべて採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長部謹吾 裁判官 入江俊郎 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎)

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