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最高裁判所第一小法廷 昭和44年(オ)940号 判決 1969年12月18日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人葛西千代治の上告理由第一点について。

記録に徴すると、第一審判決別紙物件目録添付の測量図は、その土地の範囲、所在について争いのない被上告人提出にかかる昭和四一年一月三一日付準備書面添付の測量図に基づいたものであることが明らかであるところ、右測量図には測量の基点たるA点およびB点が明示されており、第一審判決添付図面は、判決書作成の際、右A点、B点の記載を脱落したものにすぎないことを推測するに難くない。してみれば、右第一審判決添付図面の表示は、ひつきよう、書き損じによる明白な誤謬であることに帰し、更正決定をなせば足りるものであり、右主文の表示をもつてはいまだ土地の範囲の特定を欠くものとすることはできない。したがつて、右第一審判決を認容した原判決に所論の違法はない。論旨は採用できない。

同第二点について。

記録に徴すれば、第一審判決別紙目録2記載の土地(以下「本件土地」という。)が、上告人らの先代武作において訴外竹内与一郎に売り渡した青森市大字新城字山田一一四番田三反九畝三歩の一部であることは、控訴人であつた右武作においても争いのない事実として原審の確定したところであつて、所論は、ひつきよう、原審において主張しない事実に基づき原判決を非難するものにすぎないから、上告適法の理由とならず、排斥を免れない。

同第三点について。

被上告人が訴外竹内から直接本件土地の贈与を受けたものであることは、原審の適法に確定するところであり、また、農地の買主はその売主に対して農地法所定の都道府県知事の許可を求める権利を取得し、その権利を保全するために債務者に属する権利を代位して行使することができることはいうまでもないから、原判決に所論の違法はない。

同第四点について。

農地を売り渡した者は、契約上の義務として農地法所定の許可の申請手続に協力する義務があり、その義務は事後になされた目的土地の分筆の効力いかんにより左右されるものではない。同旨に出た原判決の判断は正当であり、論旨は採用できない。

同第五点について。

記録を精査しても、原審において上告人提出の所論準備書面が口頭弁論において陳述され、訴訟資料となつた形跡は認められない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 松田二郎 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎)

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