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最高裁判所第一小法廷 昭和48年(オ)1031号 判決 1974年7月22日

主文

理由

上告代理人工藤鉄太郎の上告理由第一点について。

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認することができ、その認定の過程に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであつて、採用することができない。

同第二点について。

記録によると、原審において、上告人は、被上告人が上告人と本件連帯保証契約を締結したことがなかつたとしても、訴外児玉雄が被上告人の代理人として右契約を締結したものであり、かりに訴外児玉が被上告人を代理する権限を有していなかつたとしても、被上告人は右契約を追認したものであり、また、かりにこの追認が認められないとしても、表見代理の法理により、被上告人が右契約につき責に任ずべきものである旨主張していたことが明らかである。しかるに、原判決は、右の事実を摘示せず、また、これに対して判断を示していない。したがつて、原判決には、右の点につき判断を遺脱し、理由不備の違法があるものというべく、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

(裁判長裁判官 下田武三 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 岸 盛一 裁判官 岸上康夫)

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