大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和48年(オ)163号 判決 1974年11月14日

主文

理由

上告人の上告理由について。

本件約束手形について、受取人である桜田昇から期限前の裏書譲渡を受けた青森信用金庫が、その譲受当時、上告人主張の相殺契約の存在について悪意であつたことは、原審において主張のなかつた事項であり、原判決が右の点についての主張立証がないから青森信用金庫は本件約束手形上の権利を正当に取得したものというべきであると判示したのは正当である。そうして、右の事実関係に徴すれば、青森信用金庫から本件約束手形の期限後裏書を受けた被上告人に対しても、上告人主張の抗弁を対抗できないとした原審の判断もまた正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は理由がなく、採用することができない。

(裁判長裁判官 岸 盛一 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸上康夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例