最高裁判所第一小法廷 昭和56年(あ)192号 決定 1981年6月02日
本籍
千葉県千葉市緑町二丁目一二番地
住居
同所一二番一二号 緑台ハイツ一〇三号
不動産取引業兼特殊浴場経営
高橋弘輝
昭和一四年一月一八日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、昭和五五年一二月二四日東京高等裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から上告の申立があったので、当裁判所は、次のとおり決定する。
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人高木義明、同鈴木隆、同小林正憲の上告趣意は、憲法一三条、一四条違反をいう点を含め、実質はすべて量刑不当の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 団藤重光 裁判官 藤崎萬里 裁判官 本山亨 裁判官 中村治朗 裁判官 谷口正孝)
○ 昭和五六年(あ)第一九二号
上告趣意書
被告人 高橋弘輝
右の者に対する所得税法違反被告事件について、上告趣意書を次のとおり述べる。
昭和五六年四月一六日
右弁護人 高木義明
同 鈴木隆
同 小林正憲
最高裁判所
第一小法廷 御中
記
第一点、原判決は憲法第一三条及び第一四条に違反する。すなわち、その理由は次のとおりである。
一、原判決は次に述べる量刑の不均衡について、その理由中において全くふれていない。
二、憲法第一四条にいう「法の下の平等」とは、法が平等に適用されるべきであるとする原則であり(通説、宮沢俊義著日本国憲法二〇八頁等)、不合理な差別を禁止する趣旨である。
三、ところで、犯情の類似した被告人の間で、犯人の性格、年令、境遇ならびに情状等を審査して、科刑に差異を設けることは差別待遇に該らないとする判例(最判昭和二三年一〇月六日、刑集二巻一一号一、二七五頁)はあるが、控訴趣意書添付の別紙1(本上告趣意書添付の別紙1、以下単に別紙1という)からみる限り、犯人の性格、年令、境遇、情状等の比較ができないので、単に、ほ脱税額と判決結果とを比較するとき、次のとおり、本件被告人に対する量刑との間に著しい不平等があり、原審が一審判決の懲役一年(三年猶予)罰金二、〇〇〇万円の量刑を維持したことは、被告人が自由刑及び罰金双方において、不当に重罰に処せられたことは明らかとなり、不当な差別という外はなく、憲法第一四条に違反する。
(一) まず別紙1のうち、所得税法違反事件一〇件をみると、ほ脱税額と罰金額のみの対比は平均一八・九%であり、別紙(1)の二六番だけが二八%と高率の外は、概ね二〇%前後である。
(二) これに反し、被告人の場合は、ほ脱税額六、四七七万円に対し罰金二、〇〇〇万円で実に三〇・八%と、他と比較して著しく高率であるばかりでなく、自由刑も又著しく重い結果となっている。
(三) 別紙1の二九番は、自由刑及びほ脱期間(所得税三年分)においては本件被告人と同じであるが、ほ脱税額は一〇五、六九八、七〇〇円で本件より約四、〇〇〇万円も多く、しかも罰金額は、一、八〇〇万円であり、本件よりも二〇〇万円も低額である。
(四) 別紙1の三七・三八番は、本件よりは、若干ほ脱税額が多い七、一〇〇万円台の場合であるが、懲役一〇月(二年猶予)であり、罰金額も一、五〇〇万円、一、八〇〇万円と自由刑、罰金額ともに、著しく低い量刑がなされている。
(五) 別紙1の四二番は、本件とほぼ近い六〇、七五四、九〇〇円のほ脱税額の場合であるが、懲役一年(三年猶予)、罰金一、二〇〇万円であり、自由刑は同じものの、罰金額は実に、八〇〇万円も低いのである。
(六) 別紙1の他の番号の場合を検討しても、懲役一年(三年猶予)の場合は、そのほとんどのほ脱税額は一億円をはるかに越えている。
四、このように見てくると、第二点以下に後述する被告人に有利な諸情状とを併せ考えてみると、被告人は動機、態様において、特に悪質でなく、査察後の誠実な申告及び納税努力等(即ち、被告人は、父高橋善作の経営していた会社の倒産に併う負債整理に努力した実績。弘和産業株式会社の倒産を防止する為に、トルコ二店の収入を貸付金として廻したこと。又、クラブ姫は、実質上妻花子の経営であったのであるから、本来被告人自身の収入利益として計上すること自体不当であったと考えられること。国税局の査察が入るや査察官の調査に積極的に協力し、その指示通りに、修正申告に応じたこと。特に昭和五一年度は、裏付帳簿がなく、被告人の協力により実質上の推計課税がなされているのであるが、被告人は右推計課税による修正申告をも受け入れていること。以後納税の為、銀行からの借入をおこし、真面目に納税し、今後も長期にわたり納税の努力をすることが予定されていること等々。)を充分考慮する場合は、別紙1の各ほ脱税額と量刑との比較をも併せ考えると、被告人においては、自由刑及び罰金刑ともに著しく量刑は短期かつ、減額されるのが妥当と考える。
五、ところが、原審判決は、一審の量刑を維持したものであり、前述の理由により別紙1の各被告人らの量刑との比較において、不当に重い刑を科したことが明らかとなる。このことは、被告人に対し差別的取扱いをなし、量刑したものであり、憲法第一四条に違反する。
六、更に、右原審判の量刑は、被告人の自由及び幸福追求に対する権利を不当に侵害するものであり、憲法第一三条の解釈に誤りがある。
第二点 原判決は第一審判決が被告人を懲役一年(三年執行猶予)及び罰金二、〇〇〇万円に処したことに対する被告人の控訴申立を棄却したが、同量刑は甚だしく不当であって原判決はこれを破棄しなければ著しく正義に反する。
一、父の事業等との関係
(一) 被告人は昭和三九年三月都立大学工学部土木科を卒業と同時に、兄の急死の為、父の経営する、みくに土地株式会社に入社した。その後右会社は同業者の裏切りにあい、多額の負債をかぶり、みくに土地株式会社は倒産し、被告人の経営する株式会社いわたやも関連倒産し、老いた父に代り被告人が両社の負債返済をせざるを得ない状況となった。
(二) 妻花子(当時韓国籍)は、結婚前に既に「バーコンパル」を経営しており、その収入で被告人一家は千葉市緑町に狭い借家住いを続けざるを得なかった。
(三) その頃、妻の姉李貞善から共同事業の誘いがあり、被告人と共に特殊浴場(いわゆるトルコ)営業を開始することとなり昭和四五年四月「トルコ千姫」昭和四七年七月「トルコ大名」(後にトルコ・ベルサイユと改名)の二店舗を開業することになった。トルコの業績は良く、李貞善にも昭和四八年初めまでに、二、〇〇〇万円の利益配当をなし、(有)光商事の役員報酬も月三五万円支払ってきた。
(四) 又、トルコ営業によって、右倒産した二社の負債も整理することができた。
(五) 以上のように、被告人は、父の事業の負債整理のため、トルコ営業からの収入をあて努力してきたのである。
二、被告人の経営する事業
(一) 被告人は、右トルコ二店の外、不動産売買等を目的とする弘和産業株式会社、トルコ千姫の建物賃貸のための有限会社光商事を経営していた。(なお、右査察においては、妻の経営に属するクラブ姫が、被告人の営業と認定されたが、この件については後述する。)
(二) 右弘和産業株式会社は、昭和四八年二月の設立であり、当初千葉県信連より一億円の融資を受け、土地を買受けたが、オイルショックのため、土地の売却ができず、金利の支払、分割返済金、社員給与等の支払におわれ、トルコ二店の収入で右支払をまかなってきたのが現状である。なお、昭和五一年より同五三年までの右会社の損失は約一億円を越える。
(三) 一方、同年六月トルコ大名が売春の容疑で検挙され、営業停止処分を受け、トルコ千姫も営業不振に陥った。
右検挙により李貞善は、トルコの共同経営から手を引くと主張し、出資金の返済をせまっていた。
三、犯情について
(一) 以上のように、被告人は、トルコ経営では収入があるものの、弘和産業株式会社は赤字となっている。弘和産業株式会社には、あまり仕事がないため、従業員もトルコ経営を手伝うなどしていた。右三つの事業を合計すれば実質上の損失決算になるか、収入があるとしても著しく減少になるはずである。被告人の供述によるとトルコ収入より弘和産業株式会社へ充当した金額は六、〇〇〇万円にのぼる。
(二) 弘和産業株式会社は被告人の一〇〇%同族会社であるのでトルコ二店の収入とを合わせて通算することができたら、被告人は本件程のほ脱税額は計上されなかったものと考える。
(三) よって本件査察においては、実質課税の原則(所得税法一二条、法人税法一一条)の適用がなされるべきであると考えられる。
(四) 被告人に税法の知識が充分あったなら、クラブ姫の営業をはっきり区分したうえ、トルコ二店の経営をも弘和産業株式会社の営業に移して、法人税法の適用を受けるならば、所得税の累進税率を回避しえたはずである。この点で原審判決が累進税率をまぬがれようとして、被告人の意図を認定しているのは逆であり、誤りである。
(五) 被告人は税法の無知のため、返済の見込のない弘和産業株式会社へ、トルコ収入をもって、被告人個人から貸付金の形で入金処理してきたのである。
(六) 更には、右貸付金については五一、七六一、三一九円の支払請求権が本件ほ脱税のために差押えられているのである(弁護人が原審に提出した差押調書謄本、東国徴特六、第二三五号)
(七) 右貸付金は、弘和産業株式会社の欠損が三年間だけでも一億円であることからみても、被告人には返済されることは不能であることは確実であるところ、今後返済不能が確実となった段階で、被告人個人は貸倒れ損失として処理されるに過ぎず、本税修正申告には、一切無関係となってしまい、あまりにも不合理な結果となる。
(八) 原審は、被告人の犯情をとらえ、「一片の行政事犯として軽易に評価することは許されない。」と述べているが妥当でない。
(九) すなわち、被告人は、妻の経営であるべきクラブ姫の収入をも自己の収入とし、赤字決算の弘和産業株式会社をはずし、かつ、黒字のみのトルコ二店及びクラブ姫の収入のみにより、ほ脱税額六、四〇〇万余円の修正申告に応じ、しかも昭和五一年度は、推計課税にも協力し、かつ、納得し、それに加えて、右ほ脱税額の三〇%の重加算税(一九、二七五、六〇〇円)の支払をも認めたのである。
(一〇) 重加算税は、行政目的実現のために懲罰的意味がある。仮りに、右ほ脱税額が認められるとしても、それに加えて、重加算税を課すことによって、国の行政目的、政策目的は充分達成できたはずである。
(一一) それなのに、税法に無知な被告人は、法人化することなく、黒字のトルコ、クラブの収入のみで弘和産業株式会社をはずした修正申告に応じた態度、査察への協力は、反倫理性の面からみて、きわめて程度の低いものということができるのであるから、重加算税の課税で充分行政目的は達せられるのに、それに加えて、所得税法二三八条を適用して、被告人に対し、本件処罰をなすのは、妥当ではないと考える。仮りに、同法での処罰が必要であったとしても、量刑は著しく低くなされるのが本件被告人の場合、正義に合するものと考える。
四、クラブ姫について
(一) クラブ姫は、元、「バーコンパル」から、「バー力」、「バー姫」を経てクラブ姫となったものであるが、これは、昭和三四年から、すなわち被告人と結婚する前から李花子(結婚、帰化を得て、被告人の妻高橋花子)が経営してきたものである。
(二) 右店舗として、花子は一貫として「ママ」と呼ばれ、被告人は「高橋さん」と呼ばれていた状況である。
(三) よって花子こそ経営者である。経営者の認定は収入の帰属で決まるところ、クラブ姫の収入は花子に属し、被告人ではなく、又、被告人の経営するトルコの収入とは明確に区分されていた。
(四) 被告人がクラブ姫に関与するに至った理由及び関与形態は、次のとおりである。
1 花子が韓国籍であり、会社の代表者とすることがむずかしかったこと。(帰化後、(有)広栄商事とした。)
2 花子は、自己の名前で営業許可をとると、許可書を店内に掲示するため、韓国籍であることが客等に知れることをきらい、自分の名前を出すことをきらった。そこで、バーテン、被告人、福田重夫らの名前を利用した。
3 花子は中学校も満足に出ていないため、帳簿の作成もできず、被告人が見かねて手伝い協力していた。
4 しかし、人事関係(採用等)の決定権、金銭の管理、預金通帳や印の管理は花子がやり、被告人及び従業員はその手伝いをした。
5 給与その他の支払いも、花子の決定、指示により従業員等が行う方法をとっていた。
6 花子は、福田名義にするや、自らの給与を自分で決め、それを取得する外、洋服代、パーマ代等も適宜、自分で店から自由に持ち出していた。
(五) このように、花子は、クラブ姫の収入を自ら管理していたのであるから、実質上の経営者であったのである。
(六) 昭和五三年三月花子は日本国籍を取得し、ジャックス会館へ移転したのを期に、同年一一月(有)広栄商事を設立し、出資金も六〇%を花子が出し、代表取締役に就任し、昭和五四年三月の社員総会で「当会社の経営にかかるクラブ姫の営業に関しては、代表取締役高橋花子がその一切をとりしきり、他の役員はその営業に全く関係なきものとすると決議し、(同会社議事録)従前花子が経営していたと同様に、クラブ姫の経営の実権を形式的にも花子であることを明確にした。
(七) ところで、原審は、クラブ姫の経営は、被告人に属すると認定するが誤りである。被告人はただ、帳簿のつけ方のわからない花子に代って事務的な処理を手伝っていたものである。
(八) 被告人は、査察官に、右実態を正直に説明したが、被告人の関与する仕方では、経営者であるといわれ、そうなのかなと思い納得して、自己の事業として、修正申告に応じ自ら争うことを放棄してしまったものである。それには、妻をかばう気持が働いたものと思われる。
(九) 原審は、
1 普通預金の管理状況
2 店舗の賃貸
3 給与支払
4 人の選任、指揮等全て被告人であり、花子は接客のみで昭和五〇年から給与を受けていると述べるが妥当でない。すなわち、1は花子の指示で、被告人の社員が行ったもので、2は、弘和産業株式会社で一括借受け、花子に転貸したものであり、3、4も花子の指示により従業員等が行ったものである。花子は接客ばかりでなく、経営者として、一切をとりしきっていたのである。
(一〇) よって、原審の認定は妥当でない。
(一一) そこで、クラブ姫を除外して、被告人のほ脱税額を計算すると別紙2のとおりとなり、差引一、一二四万円の減額となるはずである。
(一二) 以上の点は、量刑において考慮しないことは正義に反するものである。
五、被告人の納税状況
(国税)
(一)
<省略>
(二) 昭和五五年六月より一二月まで各二五日、毎月六〇万円宛七回、計金四二〇万円。(五五・五・二八付、手形委託により国税庁に支払済、書証は提出済)
(三) 同五六年一月より六月まで、毎月八五万円宛六回、金五一〇万円。(五五・五・二八付、手形委託により国税庁に支払中。書証は提出済)
(四) 五六年五月初旬、金三六七万円、差押物件分より支払約束中のもの、充当税目は国税庁の決定による約束である。
(五) 五六年七月以降、一年分、毎月八五万円の手形委託を国税庁と約束、以後毎年完納まで続けることになっている。
(六) その後、昭和五三、五四、五五年度の各確定申告については、国税庁の調査を受けつつ、確定申告を提出し納税している。
1 昭和五三年度、確定額一〇、二二〇、六五〇円のうち、七、〇六六、六四〇円納税済
2 昭和五四年度、確定額二、五五一、三四〇円は全額納税済
3 昭和五五年度は、確定額六、六九九、〇〇〇円のうち、三、六六五、六四〇円を納税済(別紙7)
(七) その他、被告人が本件査察の際、納税を約束した源泉税額本税三六、八三九、一七〇円(その他重加算税、延滞税あり)については、既に一部支払を開始しており、今後の他の税種の充当関係は国税局と打合せのうえ行うことになっている。(別紙8)
(地方税)
(一) 事業税(県税)は、昭和五五年二月五日より毎月五日限り、金一七万円宛支払約束のもとに、手形を納付委託し、支払中。(別紙9)
(二) 市民税は、昭和五五年六月二一日より毎月二一日限り、金二〇万円宛支払約束のもとに、手形を納付委託し支払中。(別紙10)
(今後の納税方法)
(一) 以上のように、被告人は本件査察分(一一七、二七四、二五〇円)の外、昭和五三年以降の新たな確定申告所得税も発生し、又、被告人が申述書により支払約束をした源泉税の課税決定もなされており、現在通知を受けているものだけでも約一億八、五九二万余円に達している。
(二) ところで以上のように、既払分を計算すると、国税分だけでも、約八、八〇二万余円に及び、県税分二二一万円、市民税二二〇万円(合計九、二四三万円)に達している。
(三) 今後は、新年度分の税金は別途納付として、
国税分 毎月 八五万円
県税 毎月 一七万円
市民税 毎月 二〇万円
合計 月額 一二二万円(年額 一、四六四万円)
が予定されている。右年額一、四六四万円の支払を続けて行ったとしても、既発生分だけでも、七年以上に渡り返済する必要があることになる。
六、被告人の納税意欲、その他
(一) 以上のように、被告人は既に、九、〇〇〇万円以上の納税をなしたが、今後とも毎月一二二万(年額一、四六四万)の支払を行うことになるが、被告人は今後とも、納税に努力する決意であり、現に納税に努めている。
(二) ところで、被告人の収入は、昭和五六年四月現在、年収二、六二〇万円である。
(内訳)
有限会社広和サービス(トルコ・ベルサイユ) 役員収入月額八〇万円
有限会社光商事 四〇万円
有限会社光和企画(クラブ姫) 一〇万円
弘和産業株式会社 二〇万円
設備使用料(トルコ姫) 約六〇万円
合計 月額二一〇万円
(年額 二、六二〇万円)
(三) 支払は毎年約二、八二八万円である。
(内訳)
国税・地方税 一、四六四万円
生命保険 一四〇万円
健保・年金等 二四万円
銀行支払等 一、二〇〇万円
(合計 年額二、八二八万円)
(四) よって、被告人は、事業が現在と同様である限り毎年約二二八万円の赤字となるが、その補填は、銀行関係の支払を延期してもらったり、又は、新たに借入れをおこしてでも、税金関係は支払を続けて行く決意をしている。
(五) 被告人家族の生活は、妻の収入に頼らざるを得ない状況である。そのため、生活や支払に苦慮しながらも、納税に誠意をつくしている状況であり、その反省は深いものと考えられる。
七、以上述べた被告人に有利な諸情状及び弁護人らの意見よりすれば、被告人を懲役一年(猶予三年)に罰金二、〇〇〇万円を併科する原判決は、懲役刑、罰金刑ともにその量刑は著しく重きにすぎ、甚しく不当であって原判決はこれを破棄しなければ著しく正義に反するものである。
以上
別紙(1)
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
別紙(2) 脱税額計算書(クラブ姫除外)
<省略>
別紙(3)~(10)は登載略