最高裁判所第一小法廷 昭和57年(あ)246号 決定 1984年5月30日
主文
本件各上告を棄却する。
理由
被告人桐野忠大の弁護人森川金寿の上告趣意のうち、憲法三八条三項違反をいう点は、原審においてなんら主張、判断を経ていない事項に関する主張であり、判例違反をいう点は、原審は被告人桐野忠大の自白のみならずその他の証拠をも総合して同被告人の収賄の犯意を認定しているのであるから、所論はその前提を欠き、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であり、被告人桐野忠大の上告趣意は、事実誤認の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。
被告人笠原稔彦の弁護人苑田美穀の上告趣意は、判例違反をいうが、実質は事実誤認の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。
なお、所論にかんがみ職権で判断するに、原判決の認定によれば、被告人桐野忠大は、文部大臣の任命により同大臣の諮問に応じて大学の設置の認可等に関する事項を調査審議する大学設置審議会の委員をし、同時に歯科大学の専門課程における教員の資格等を審査する同審議会内の歯学専門委員会の委員をしていたところ、歯科大学設置の認可申請をしていた関係者らに対し、各教員予定者の適否を右専門委員会における審査基準に従つて予め判定してやり、あるいは同専門委員会の中間的審査結果をその正式通知前に知らせてやつたというのであつて、被告人桐野忠大の右各行為は、右審議会の委員であり且つ右専門委員会の委員である者としての職務に密接な関係のある行為というべきであるから、これを収賄罪にいわゆる職務行為にあたるとした原判断は、正当である。
よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、主文のとおり決定する。
この決定は、裁判官谷口正孝の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるものである。
裁判官谷口正孝の補足意見は次のとおりである。
一 文部大臣の任命により同大臣の諮問に応じて大学の設置の認可等に関する事項を調査審議する大学設置審議会の委員をし、同時に歯科大学の専門課程における教員の資格等を審査する同審議会内の歯学専門委員会の委員をしていた被告人桐野忠大が、歯科大学設置の認可申請をしていた相被告人笠原稔彦ら関係者に対し、同大学の各教員予定者の教員としての適否を右専門委員会における審査基準に従つて予め判定してやり、あるいは同専門委員会の中間的審査結果をその正式通知前に知らせてやる行為は、所論の如く被告人桐野の私人としての行為と目すべきものではなく、同被告人の「職務ニ関ス」る行為というべきである。私としても法廷意見に賛成する。その理由は、同被告人のした右行為は同被告人の前記職務に密接な関係のある行為ということになるが、この点について私なりの説明を加えておく。
二 賄賂罪の本質は公務の不可買収性にある。蓋し、公務員が賄賂を収受することにより公務の公正さに対する信頼が失われることになるので処罰の必要があるのである。この処罰理由に徴して考えると、賄賂は当該公務員の職務行為それ自体と対価関係に立つことは必ずしも必要ではない。職務行為と密接な関係にある行為について公務員が賄賂を収受した場合収賄罪として処罰されるべき十分な理由がある。
大審院判例・最高裁判所判例が一貫して刑法一九七条の「職務ニ関シ」の意義を、職務行為及び職務に密接な関係のある行為と解してきたのは、公務員が賄賂を収受することによつて公務の公正を疑わせるかどうかという点に着目して、その虞れのない公務員の私的行為との間に限界づけをしたものと思う。
三 もつとも、判例のいう「職務に密接な行為」という概念は、論旨も指摘するように必ずしも明確なものではない。判例の集積によりその内容は固められることになるわけであるが、「職務に密接な行為」というためには、本来の職務行為として法律上の効力は認められないとしても、職務行為と関連性があり社会通念上職務行為として認められ行われているものをいうのであつて、そのような行為として認定するためには、当該公務員の職務権限と実質的な結びつきがあるかどうか、公務を左右する性格をもつ行為かどうか、公務の公正を疑わせるかどうかの視点が基準となる。
四 以上の観点に立つて被告人の本件行為を収賄罪として律することができるかどうかを考えてみると、被告人のした行為は、所論の如く私人としての鑑定行為に類するものとはとうてい言えないものであり、被告人が前記各委員としての地位に在ることによつて初めて可能な行為であつて、被告人の職務権限と実質的な結びつきがあり、公務を左右する性格をもつ行為であり、公務の公正を疑わせるものであることは、明らかである。被告人桐野忠大の原判示所為は、「職務ニ関シ」賄賂を収受したということになる。
以上の次第であつて、私も法廷意見に賛成した。
(和田誠一 藤﨑萬里 谷口正孝 角田禮次郎 矢口洪一)
弁護人森川金寿の上告趣意《省略》
被告人桐野忠大の上告趣意《省略》
弁護人苑田美穀の上告趣意
一 福岡高等裁判所は、被告人笠原稔彦、及び同被告人の弁護人苑田美穀(連名)がなした控訴の申立につき、昭和五六年一二月二一日、本件控訴を棄却するとの判決を宣告した。
しかしながら、右の控訴判決は、最高裁判所の判例と相反する判断をしているので、これを破棄すべきである。
二 笠原被告人より賄賂収受をしたとして、収賄罪に問われた被告人桐野忠大の職務内容は、次のとおりである。
1 桐野被告人は大学設置審議会の委員であつたが、常任委員、分科会長、分科会長の職務を代理する者、総会を構成する代表委員の役職に就いていたものではなかつた。
また、歯学専門委員会の委員ではあつたが、福岡歯科大学の教官組織の審査についても、主査または副主査の地位に就いていたものでもなかつたのである。福岡歯科大学の実地審査を分担していたものでもなかつた。
2 桐野被告人が、その委員をしている大学設置審議会は、文部省設置法第二七条により、
「文部大臣の諮問に応じて大学設置の認可及び、博士その他の学位に関する事項を調査審議すること」
を目的として設けられたもので、国家行政組織法第八条による合議制の諮問(調査審議)機関である。
その職務権限は、行政官庁である文部大臣の職務権限とは異なり、文部行政上の行政処分、行政指導を自ら執行することができるものではない。たゞ、文部大臣の諮問を受けて始めてその諮問事項につき調査を審議し、答申する職務権限を有しているにすぎない。
3 文部大臣は、審議会の答申を採用するかどうかは、自由に認定できるものであるが、大学設置審議会の所掌事務の遂行そのものについて、文部大臣は指揮監督権を行使することはできない。文部大臣は審議会の事務について「統括」(国家行政組織法第一〇条)をなし得るが、その統括は、内部部局に対する指揮監督とは異なり、委員の任免のほか、単にその独立性を害さない限度における管理的事項(予算経理等)に限られる。
従つて大学設置審議会は、審査の手続方法を法令に違反しない限り、審議会内部で自由に申し合せ決定することができるものである(大学設置審議会令第一二条)。
なお、大学設置審議会の庶務は文部省大学学術局において処理することとされている。
4 大学設置審議会の組織、運営、調査、審議の手続方法については、大学設置審議会令、大学設置審議会運営規則、大学設置分科会運営規則、大学設置審査運営内規、大学調置審査申し合せに定めが存在する。
5 大学設置認可に関する審査の方法は、書類審査、実地審査の二方法がある。
(一) 書類審査
書類審査は、申請書および専門委員会の報告に基づいて、名称、位置、目的、教員組織、教育課程とその履習方法、学生定員、校地、校舎等の施設、図書、標本、機械器具等の設備、教員および施設、設備等にかゝる年次計画、設置者の資産、その他の維持経営の方法ならびに将来の計画等について行なう。
(二) 実地審査
① 実地審査は、書類審査の結果に基づいて行なう。
② 実地審査においては、申請書記載の事実を確認し、部会における審査の概要を申請者に伝達する。
③ 実地審査は、二名以上の、部会の構成員によつて、分担する。
④ 部会の主査が必要があると認めたときは、部会に属さない専門委員を実地審査に加えることができる。
⑤ 実地審査を行なう委員および専門委員は、部会の主査が定める。
6 大学設置審議会委員および専門委員会の委員は、非常勤で、分科会、部会、専門委員会が開催される都度、招集されて、その会議に出席し、その席上で、申請書に基づいて書面審査を行ない、意見を述べて、討論に参加し、採決に加わり関与することが職務内容となつている。
委員は、各自の個人として有する学識経験を、審議会、専門委員会の公の場に持ち寄り、その学識経験に基づき、諮問事項について所定の議事手続に従つて調査に当り、審議を行なうことが職務上の行為となるものである。その公の場以外における私人の求めに応ずる意見の表明鑑定は、職務行為ではない。また、委員は、前記の如き所定の調査方法以外の方法で、各個に、自由に調査を行なうことは職務内容とはならない。申請者の提出した書類に書面上不備の点があつたとしても、これを指摘し、改善せしめるよう指導助言することは委員の職務権限に属するものではない。
仮りに、委員が、かゝる指導助言を私人に対して公の場以外で行なつたとしても、それはその委員の私的行為である。
前述のとおり、大学設置審議会委員が、実地審査に際して、書面審査の概要を申請者に伝達することが行なわれるが、右の正式伝達に先立つて、文部省事務当局者が、専門委員会の書面審査の概要(本件の場合、教員組織の判定およびその理由)を内示することがなされている(第一審第二二回公判、証人野口義人の供述、二、八九七丁)。
右の内示は、まさしく申請書を適正なるものに差し替えさせ、訂正を求める行政指導に外ならない。この行政指導は、大学設置認可申請の段階から、大学教育の人的、物的施設の充実強化を計ろうとするものであつて、行政機関の権限に属することである。しかし、諮問調査機関にすぎず、また、行政指導の権限のない大学設置審議会の職務ではない。
右の内示は、証人青柳徹尋問調書(二二七丁)二六項によれば、第一回専門委員会の調査結果を、さらに、部会、常任委員会の議を経て始めて、文部当局が行う内示行政指導として実効的権威があるもので、単なる専門委員会の調査結果とは異なるものである。
而して、大学設置認可申請書の書式に関する補正についても、文部事務当局が、申請後(本件の場合は昭和四六年一〇月七日)各申請者を文部省に招致して、ヒヤリングと称する指導を行なつているもので、大学設置審議会または専門委員会の委員が申請書の書式に関して、かゝる指導をしたとしても、それは私的行為であつて職務行為ではない。
なお、大学設置審議会および専門委員会の審議状況は、特に職務上秘密扱いにされているものではない。それは、大学設置基準、大学設置審査運営内規、大学設置審査申合せ等の関係規定集が、それ自体、秘密扱いとされていず、それらの規定上も審査内容を特に秘密扱いにすべし、との定めも全く存しないのである。
7 福岡歯科大学設立準備委員会の役員である穂坂恒夫、力武清士らが、教官組織の適否につき、桐野被告人より指導助言を受けたとしても、桐野被告人が、当時、大学設置審議会の委員、歯学専門委員の地位にあつたからではない。教官組織の適否について鑑定することのできる知識、経験を有する適任者であつたからである。桐野被告人が、昭和四六年一〇月当時、桐野被告人が、その鑑定能力を有していた所以は、同被告人が大学設置審議会の委員として任命されていて大学設置審議会の調査審議に加わる地位に就いていたからではない。
桐野被告人は、多年、営々として、口腟解剖学を専門として研究し、その実績を積み重ね、国内外において、その研究成果を高く評価され、また、教育行政の面においても、東京医科歯科大学において、歯科部長その他の要職に就いてその行政手腕は広く歯学関係者に喧伝されたものである。
桐野被告人は、日本歯学会における権威者であり、歯学教育の水準、各教育機関、研究機関における研究者、教育者についても通暁しており、歯学研究者の個々について、その研究業績、教育歴について具体的に直接承知している場合もあり、直接承知していない場合も、その論文等のデーター等を示されゝば、容易に之を批判し、評価し得る実力を有していたものである。しかも、その鑑定能力は、桐野被告人が大学設置審議会委員に任命されてから俄かに身につけたものではない。換言すれば、右の鑑定能力は、桐野被告人の個人としての能力である。穂坂らの求めに応じて、その能力に基づいて教官組織の適否について自己判断を参考のため述べること、すなわち、桐野被告人の知恵をわかち与えることは、審議会の職務執行々為でもなく、また、これと密接に関連する行為とは到底認めることはできない。桐野被告人の自由意志に基づく私人の行為である。
8 福岡歯科大学設立準備委員会事務局長、野口義人が、昭和四六年一一月二日に文部省大学学術局に招致され、学術局庶務課の岡孝男文部事務官より理由を付して判定結果を内示され、これより充分の余裕をもつて、第二回歯学専門委員会開催まで教官組織を差し替えしたものである。
そもそも行政指導としての内示は、差し替えをさせるため、その準備期間を見込んで、適当な時期を選び内示することが本旨である。
従つて、大学設置に関する行政指導を、その任務としない大学設置審議会が、その調査状況を、実地審査の伝達の場合を除き、関係者に伝達することは、その職務ではない。のみならず、右の調査結果は、職務上の秘密でもないのであるから、これを大学設置申請の関係者に告知しても、それは、大学設置審議会の委員として、職務行為でもなく、職務に密接な関係のある行為でもない。
三 職務と密接な関係のある行為について。
1 賄賂罪の「職務」は、法令によつてその範囲が定められるものであつて、濫りに、その範囲を拡大することは、刑法解釈の本旨に反するものである。
ところが、従来の判例は、「職務それ自体」ではないが、「職務と密接な関係のある行為」〜以下、密接関係行為という〜を賄賂罪の対象としている。
2 この種判例の嚆矢は、
大正二・一二・九 大判 録一九・一二九三
であつて、
県議会議員が県知事(または内務大臣宛)に県令の意見書を提出する件に発案し可決させるため、他の議員を勧誘賛成させた行為を「密接関係行為」と認めたものである。
右の「密接関係行為」の概念は、
大正五・一二・一三 大判・録二二・一八二六
昭和八・一〇・一〇 大判・集一二・一八〇一
昭和六・一〇・三〇 大判・集一二・二一〇三
昭和九・八・六 大判・集一三・一〇六六
昭和一一・八・五 大判・集一五・一三〇九
昭和一六・二・一五 大判・集八輯八号三三頁
の判例によつて認められているが、その何れも、地方議員の同僚議員に対する勧誘賛同等の行為について適用しているのである。
3 地方議会において、その議員に対して、ある議案の賛同方を依頼した場合、当該議員自身の職務行為自体を依頼したもので、之に対して報酬が供与されると賄賂罪に該ることは当然である。ところが、贈賄者側にとつて、当該議員の議会審議における好意ある職務行為を期待するだけでは、議会が合議制である性質上、その目的を達成し得ない。そこで、他の多数議員を影響下におき、議会の議決を得ることが必要となり、当該議員から他の議員に事前に働きかけ、議案の賛同方を勧誘してもらうことゝなる。かゝる議員間で勧誘斡旋をしてもらつたことに対して報酬が提供された場合、その働きかけを職務行為自体とみることはできないので、「職務密接関係行為」の概念を適用したのである。
4 振り返つて、本件について検討してみると、笠原被告人ら福岡歯科大学準備委員会の役員は、福岡歯科大学設置認可申請にかゝる大学設置審議会での審議において、桐野被告人に対して他の委員に判定可の議決がなされるよう働きかけを依頼したことはもとよりのこと、桐野被告人が他の委員に、その旨の勧誘斡旋を行なつたことを認めることのできる証拠は全く存在しない。従つて桐野被告人の職務に密接関係行為に対して違法な報酬が供与されたことを認定できるものではない。
5 右の「職務関係行為」の概念は、それ自身甚だ明瞭性を欠き、法律上果して密接な関係のある行為であるか、どうかを判断するについて正確な標準を定め難い命題を内包している。
賄賂罪の保護法益は公務の威信であるから、賄賂の対象となるものは公務自身でなければならない。
6 「密接関係行為」の概念について、その範囲・限界を一義的に確定できる標識は判例上存しない。
昭和九・一一・二六 大判・集一三・一六〇八
昭和一二・五・三 大判・集一六・五九八
は、それを「職務を円滑に遂行する準備手段」と述べ、
最高裁は、
昭和三一・七・一二 決定・集一〇・七・一〇五八
昭和三二・二・二六 決定・集一一・二・九二九
で、「職務に密接な関係を有する、いわば準職務行為または事実上所管する職務行為」としている。
しかしながら、その意味するところ、必ずしも明白でない。
綜合判例叢書(14)「賄賂の概念」において、内藤助教授は次のとおり論評している。
この新しい表現の意味するところ、かならずしも明確でない。
「準職務行為とは、『職務権限を定める法令からみて、当然類推することができる行為』もしくは、『職務行為に準ずるような公務的性格をもつ行為』を意味するのであろうか」
「『事実上の所管する行為』とは、法令上職務と関連するために事実上所管する職務行為を意味するのであろうか。」
7 賄賂罪の対象となる「職務」を、かゝる概念規定の曖昧な「職務密接関連行為」にまで拡大適用するに当つては、刑法解釈の原則を安易に崩すことなく、その原点に立脚して厳格な解釈を加えるべきである。
美濃部達吉博士は、「公務員賄賂罪の研究」で、次の如き疑問を投げかけられている。
「公務員が職務上取扱つている事項について、放送局から依頼されてラジオの放送をし、あるいは会社等から依頼されて講演し、あるいは雑誌社から依頼されて論文を雑誌に寄稿したとすれば、その放送・講演・論文の内容などが職務事項に関するものである限り、職務密接関係行為となり、その謝礼を受けとれば収賄とみられ、それは、おかしいのではないか。」
8 笠原被告人が桐野被告人に供与した本件金品が、桐野被告人の大学設置審議会・歯学専門委員会の委員としての職務に関する賄賂でないことは、控訴審で詳細論証したとおりであるが、桐野被告人が笠原被告人らに対して何らかの教示指導の行為に出たとしても、その行為の具体的内容は、証拠上極めて曖昧漠然としていて、それが果して単なる職務と関連性あるとされる行為であるのか、密接な関係のある行為と断定されるものであるのか明瞭でない。
寧ろ、職務外の私的行為として指導教示に当つたものと認めることが至当である。
9 最近の最高裁の「職務密接関係行為」に関する判例を見るに、大審院判例を踏襲して、
賄賂罪の対象となる「職務に関し」とは公務員の職務行為そのものに対するものであることは必ずしも必要とせず、「職務に密接な関係のある行為」に対するもので足りる。
としているけれども、
単に職務と関連性を有するというだけでは足りない。職務と密接な関係のあることを要する。
としている。
① 昭和三二・三・二八 一小判決
② 昭和三四・五・二六 三小判決
③ 昭和三五・三・四 二小判決
④ 昭和五一・二・一九 一小判決
右の各判例の判示するところによれば、本件の桐野被告人の行為は、同被告人の職務行為に密接な関係のある行為とみることはできない。
従つて、笠原被告人が桐野被告人に交付した金品は、桐野被告人の職務に関する賄賂ではない。
本件控訴審判決は最高裁判所の判例に相反する判断をしているので、これを破棄すべきである。