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最高裁判所第一小法廷 昭和63年(行ツ)42号 判決 1988年9月29日

前橋市下新田町三二九番地

上告人

原戸晃

前橋市表町二丁目一六番七号

被上告人

前橋税務署長

黒須正憲

右指定代理人

植田和男

右当事者間の東京高等裁判所昭和六二年(行コ)第五五号所得税更正処分取消請求事件について、同裁判所が昭和六二年一一月二六日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づいて原判決を論難するものであつて、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大内恒夫 裁判官 角田禮二郎 裁判官 佐藤哲郎 裁判官 四ツ谷巖 裁判官 大堀誠一)

(昭和六三年(行ツ)第四二号 上告人 原戸晃)

上告人の上告理由

前橋税務署長は、私の、昭和四八年及び昭和四九年分の、納税申告を過少申告と看なす、昭和五一年四月二六日付で、更正ならびに、過少申告加算税総計八五六五〇〇円を、賦課してきた。

しかし、当時の私の申告を、被上告人が、過少申告と看なす根拠は以下に述べる通り誠に不当なものである。

(一) 被上告人は、群馬信用組合広瀬支店ならびにきゅうじょう信用金庫大橋支店の上告人名義の口座への預入金をそのまま上告人の工事収入としている。

(二) 低廉で良質な住宅を供給してきた私の利益率は、被上告人が推計課税の、平均利益率を算出する上で採用した、イからムの、一一の同業者比率に比べて非常に低く、上告人の事実に基ずく反論に対して、被上告人は、実地検証等の、調査を、何一つとして行おうとしなかつた。

(三) 上告人は、守秘義務を理由に、一一の比準同業者を明らかにしていないが、当然明らかにする義務がある。

(四) 一一の比準同業者の中に、年間工事請負額が、上告人と同程度のものは、三、四人に過ぎず、被上告人の業者の選定には問題がある。

(五) 推計課税は、根拠のない当推量であり、施主の為に出来る限り低廉で良質な、住宅を供給しようとする良心的な、建設業者を業界から締め出すものであるから、建設業法第一条に違反する。

以上

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