大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和22(れ)134 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鈴樹忠直上告趣意書

第一点 原判決ハ累犯ノ加重ヲ施シ被告人ヲ懲役一年ニ処シタリ右累犯ノ適用ハ新

憲法ノ解釈ヲ誤レルモノト信ス新憲法ノ施行ニヨリ主権者ハ天皇ニ非スシテ国民全

体トナリタリ、被告人ノ前科ハ昭和十四年懲役一年及昭和十七年十月二十日懲役一

年六月ナレハ何レモ旧憲法時代ノ犯罪ナリ、刑罰ハ主権者カ科スルモノナレハ天皇

主権時代ノ科刑ト国民主権時代ノ科刑トハ累犯トナラスト信ス故A博士故B博士等

天皇主権者テナクナレハ日本国ハ滅亡ナリト言ヘリ、と言うのであるが、旧憲法時

代の前科は前科にあらずということはできない、従つて原審が所論前科を認定し累

犯の加重をしたのは正当で論旨は理由がない。

第二点 被告人ノ犯罪事実ハ自転車一台ヲ他人ノ家ノ軒下ヨリ人カ見テナイ時盗ン

タノテアルカ之ニ対シ懲役一年ハ刑ノ量定甚タシク不当ナリト信ス、当弁護人ハ自

転車一台ヲ盗取セル同様ノ罪事実ニ於テ他人カ起訴猶予ニナリタル事ヲ鯵ケ沢区裁

判所ニ於テ本年四月経験シタリ、之レト比較シ被告人ニ一年ノ科刑ヲ為スハ公平(

equity)ノ原則ニ反スルモノト信ス。故ニ前科ナシトスレハ執行猶予ノ恩典

ヲ与フルヲ至当トスヘク仮ニ前科アリトスルモ懲役一年ハ重キニ過キルモノト信ス。

と言うのであるが、刑の量定の不当なることを上告理由とすることは日本国憲法の

施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第十三条第二項の規定により許さ

れないのであるから論旨は理由がない。

よつて本件上告は理由がないから刑事訴訟法第四百四十六条により主文の如く判

決する。この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

検察官小幡勇三郎関与

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昭和二十二年十二月十日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

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