大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和22(オ)13 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理 由

上告理由第一点乃至第六点について。

原審は、上告人等の主張する「被上告人B1が上告人等を窃盗犯人であるとして

盗難届を為し、濁酒密造のことをも内通したとの事実及び被上告人B2が当日午後

四時頃上告人等方に来て様子を探つた後、犯人の足跡その他疑はしいことは何等な

いのに足跡が上告人等方の傍迄つづいていると称してD巡査を案内して上告人等方

に来り土足の儘家宅捜索を為し、又当時外出中の上告人Aを恰も犯人であるかのよ

うにさけんだとの事実」はいずれも認められないと認定している。そしてさらに「

被上告人B1は上告人等を犯人であるとして盗難届をしたり濁酒密造の疑をもつて

之を申立てたりしたことは全然なく、被上告人B2は上告人等方に立寄つて水を飲

ませて貰い雑談をしたが家の様子を探つたことはなく、右巡査を案内したのも同巡

査に依頼されるままに之を案内したのに過ぎず、この両名が上告人等方に上つて家

の中を見廻つたときも土足のままでなく靴を脱いで上つたのであり、又当時上告人

Aを犯人であるかのように疑つたりさけんだりしたことのない事実」が認められる

と判示している。しかも原審は、本件では上告人等主張の事実に符合する内容の証

拠がないわけではないが、原審が事実認定の資料として採用した原判決挙示の証拠

と対比すればいずれも措信し得ないとして排斥しているのである。そして原審の右

事実認定はその挙示する証拠に照らしこれを肯認するに難くないのである。論旨は

原審の右証拠判断を目して実験則に反し採証の法則に違反すると主張するけれど、

原審が前示事実認定の資料とした証拠はいずれもそれ自体実験則上あり得ないよう

な内容を有するものではなく所論は原審が採用しなかつた証拠によつて推断し得べ

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き事実を前提として原審採用の証拠の証明力を否定し、或は原審とは反対の事実認

定をなすべかりしものなることを主張するに過ぎないものであつて、結局事実審で

ある原審の裁量に属する証拠の取捨判断若くは事実の認定を非難するに帰着し、い

ずれも上告適法の理由と認められない。

同第七点について。

如何なる程度まで証拠の取調をなすべきかは、事実審裁判所が各場合における訴

訟状況、既になした証拠調の結果、その他諸般の事情を斟酌して合理的に裁定する

ところに委ねられている。記録によれば、原審が論旨(1)所論の書類取寄申請を

採用せず弁論終結の上判決を言渡したものであることは所論のとおりであるが、所

論の立証事項については既に他の証拠調のなされていることも記録上明らかである

から、原審が右取寄申請を採用しなかつたからとて、これを目して不合理に上告人

等の立証を阻止したものということはできない。また論旨(2)所論の検証の申出

及び事実の調査等は、弁論主義の適用せられる民事訴訟においては正に当事者の責

任においてなさるべきところであり、裁判所が当事者の発動を俟たず積極的にこれ

を指導すべき責務を負うものではない。それ故原判決には所論のような違法はなく

論旨は理由なきものである。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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