大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)1128 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人相沢登喜男上告趣意第一点について。

所論の二つの勅令が被告人の台湾におる間に公布施行されたものであるとしても、

日本の刑罰法規が公布施行されれば、日本国内におて効力を有することは言うを待

たない。又日本の刑罰法規は何人を問わず、日本国内において罪犯した者に適用せ

られる(刑法第一条、第八条)。前記二勅令には、何等特別の規定がないから、同

勅令に定めた犯行を日本国内で犯した者に対して、その適用があることは明白であ

る。さて、本件において、被告人の行為は、日本国内である判示a町、b町の海岸

で密輸入をしたというのであるから被告人の右所為に対して同勅令の適用あること

は、論を待たないところである。論旨は、それ故に理由がない。

同第二点について。

所論刑法第三八条第二項の規定は、事実の錯誤に関する規定であつて、法律の錯

誤についての規定ではない。被告人は、通関手続をしないで輸入するという事実及

び被告人は政府以外の者であつて判示物品を輸入するという事実については、認識

があつたのであり、何等事実の錯誤はないから、刑法第三八条第二項の問題を生す

べき余地は存在しないのである。しかのみならず、刑罰法規の不知は、罪を犯す意

なしとすることができないのは当然である(同条第三項)。されば、原判決が、被

告人の行為に対し関税法を適用せずして、前記二勅令を適用したことは、何等の違

法もない。

同第三点について。

原判決においては、被告人はA等と共謀の上、判示物品を密輸入したことを認定

した。この事実認定は、原判決の掲げる証拠によつて肯認することができる。され

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ば、所論は、原判決の認めない事実に立脚した議論であつて当を得ない。論旨は、

結局原審の事実認定を非難するに帰着し、上告適法の理由とはならない。

よつて刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 橋本乾三関与

昭和二三年一二月二七日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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