大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)157 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人沖賢翠の上告趣旨第一点について。

しかし証拠の取捨判断は事実審の裁判官が法令其の他経験則に違反せざる限り良

心に従ひ諸般の事情に応じ独立自由に決定するところに一任さるべきものである。

そして所論のごとく、被告人の供述が前後全く相反する場合においても、利害関係

のない直接見聞体験者の証言に必ず従はねばならぬというような経験法則は存在し

ない。それ故本件のように原審が所論の証人の外更に他の証人を取調べたる結果原

判決に挙示した各適法な証拠を採つて判示第一の事実を認定した以上、所論の証人

の証言を採用しなかつたからと言て経験法則に反して証拠を採用しなかつた違法あ

りとはいえない。論旨はその理由がない。

同第二点について、

しかし原判決はAが判示ミシンの売却方を被告人に依頼したと認定したもので所

論のように判示ミシンを被告人が同人に若しくは同人が被告人に売却したと認定し

たものではない。それ故所論は原判決の認定事実と異つた事実上の見解を主張して、

その前提の下に審理不尽、理由不備の違法ありとするもので、結局事実誤認の主張

に帰するから上告適法の理由とならない。

よつて刑訴第四四六条に則り主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二三年五月六日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

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裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 岩 松 三 郎

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