大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)300 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鍛治利一の上告趣意第一点及び第一二点について。

しかし、上告人がラジオ等を窃取し逮捕を免れるために、Aに対し暴行を加えた

という判示事実は原判決挙示の各証拠によつてこれを肯認することができる。そし

てその原判決の認定判示には実験則に反するとか、理由不備とかの違法はない。所

論は結局独自の見解に基いて事実審たる原審の裁量権に属する事実認定を非難する

にとどまるものであるから上告適法の理由とはならない。

同第三点について。

Aの傷害の部位についての予審廷における供述は所論の通りではあるが、原判決

挙示の他の証拠である医師B(原判決に医師Cとあるは誤記と認める)の作成に係

るAに対する診断書によつて判示傷害の部位を肯認することができる。しかのみな

らず、かように被害者の供述と判示事実との間に傷害の部位の一部である上膊の右

左についてのみ齟齬があつたからといつて判決の結果に影響を及ぼすものとはいえ

ないから、原判決には所論のように虚無の証拠によつて事実を確定したという違法

はない。論旨は理由がない。

同第四点について。

しかし、原判決挙示の証拠であるAに対する予審訊問調書によれば、上告人は同

女を数回揉ぢ伏せ、所構はず靴で蹴り、手で口を押へる等の暴行をしたことが肯認

される。従つて所論の判示の等といふ文字は靴で蹴るという暴行の複数なることを

説示するために用ゐられたものと解し得られるし、又蹴ることの他に揉ぢ伏せると

か、手で口を押へるとかの暴行をも説示するために用ゐられたものとも解せられる

から、原判決には所論のように虚無の証拠によつて事実を認定したという違法はな

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い。論旨は理由がない。

よつて刑訴第四四六条により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二三年六月二四日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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