大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)364 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人西尾盛三郎上告趣意について。

原判決挙示の証拠によれば、判示強盗未遂の事実を肯認することができる。論旨

は、「Aの妻Bに対しつくりごとを云つて金銭を得ようとした」判示事実を捉えて、

この行為は詐欺で刑法第二四六条に該当するから、強盗罪の外に詐欺罪の規定を適

用すべき旨を主張するのであるが、本件においては詐欺罪乃至詐欺事実は起訴され

ていない。そして、詐欺罪と強盗罪とは起訴事実の同一性を欠くものであるから、

本件強盗罪についての公訴提起の効力は詐欺罪には及ばない。従つて、論旨の「つ

くりごとを云つて金銭を得ようとした」判示事実の記載は単に本件強盗罪の犯行経

過の一事情として添加されているに過ぎないものと解すべきである。それ故、原判

決が詐欺未遂の適条を掲げていないのは、正当である。次に、論旨は、「一見拳銃

の様に見える前記ライターを突き付け金を貸せと脅迫し」た判示事実を捉えて、こ

の行為は脅迫で刑法第二二二条に該当するから、強盗罪の外に脅迫罪の規定を適用

すべき旨を主張するのであるが、右脅迫は判示暴行と共に本件強盗罪の一手段とし

て説示されたに過ぎないことは判文上明かである。すなわち、脅迫は強盗罪の中に

吸収せられておるものと見るべきであつて、強盗罪の外に脅迫罪が独立して成立す

るものと解することはできない。従つて、本件においては、何れの点から見るも論

旨の言うごとく刑法第五四条を適用すべき余地は存在しないのである。されば、論

旨は理由がない。

被告人上告趣意について。

この上告趣意書は、提出期間経過後に作成せられ提出されたものであるから、別

段判断を加えない。

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よつて刑訴第四四六条により主文の通り判決する。

この判決は、裁判官全員の一致した意見である。

検察官下 秀雄関与

昭和二三年七月一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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