大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)810 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人上告趣意について。

判示事実の「昭和二二年二月六日頃居村A村長から被告人生産に係る昭和二一年

度米穀につき、政府に売渡すへき数量として割当てられた米穀二七石八斗六升を昭

和二二年三月三一日(昭和二一年一二月二七日広島県令第九〇号を以て指定された

売渡期日)までに政府に売渡すよう通知があつた」ことは原判決挙示の証拠によつ

てこれを肯認することができる。それ故、右割当の通知が無効であるか又は取消若

しくは変更があるかしない限り、被告人は右割当通知に指示された米穀の数量を指

示された期日までに政府に売渡す義務を負うべきものであることは明白である。し

かるに記録を精査しても、右割当通知が無効のものだと認められる何等の事実も見

出すことができない。そして右割当通知が取消又は変更されたことを認むべき資料

は、何ものもない。されば右割当通知は有効に存在しているものであるから被告人

は右割当通知に指示された米穀の数量を指示された期日までに政府に売渡す義務を

完全に負うている者といわなくてはならぬ。論旨のような事情が仮にあつたとすれ

ば、被告人はその当時において割当の変更について適当な救済方法を講ずべきであ

つたと思うが、記録上これを認めるに足る形跡も存在していない。ところで判示事

実の「法定の除外事由なくして右売渡期日までにそのうち一四石を供出したのみで

残量一三石八斗六升の米穀を政府に売渡さなかつた」ことは原判決挙示の証拠によ

つてこれを肯認することができる。されば原判決が被告人を食糧管理法令違反とし

て処断したのは正当であつて所論のような審理不尽の違法はない。更に刑の執行猶

予を言渡すかどうかは事実審たる原裁判所が諸般の事情を考慮して定める裁量権に

のみ属するところであるから、原判決が被告人に対して執行猶予の言渡をしなかつ

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たことを非難しても、それは上告適法の理由とはならない。

よつて刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 安平政吉関与

昭和二三年一一月二五日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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