大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(オ)129 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人和島岩吉上告理由第一点について。

昭和一八年一〇月六日上告人先代Dと被上告人との間に成立し翌一九年一月一九

日にその所有権移転登記手続を了したとする所論第二目録記載の土地建物の売買に

関する原審認定の事実は、その挙示する証拠の内容に照らしこれを肯認するに難く

ないのである。論旨摘録にかかる証人Eの証言の内容は、昭和一八年夏頃被上告人

から聞いたという事柄であつて、原審の認定するところによれば第二目録記載の物

件についてはいまだ所有権の移転なく上告人先代の所有名義であつた当時のことに

属する。のみならず上告人先代が被上告人に対し金銭債務を負担していたこと及び

被上告人が上告人先代の印鑑を預つていたということだけでその当時右当事者間に

なされた土地建物の売買は必ず信託的譲渡であると推断しなければならないもので

はない。 (現に当時既に判示第一目録記載の不動産については右当事者間に真実

の売買がなされているのである。) されば所論Eの証言は、原判決挙示の証拠に

より判示事実を認定する妨げとなるものではなく、原判決は前掲第二目録記載の土

地建物の売買に関する事実を認定した上告人の立証を以てしてはその認定を覆すに

足らない旨判示し、以て所論証人の証言の採るべからざる所以を説示しているので

ある。原判決には所論のような違法はなく論旨は採るを得ない。

同第二点について。

被上告人の本訴請求が上告人先代Dとの間に成立した売買契約にもとずきこれが

履行として目的不動産の引渡を求めるものであることは記録上明白である。原審が

被上告人主張の売買契約の成立を認め先代Dの家督相続をなしその債務を承継した

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上告人に対して目的不動産の引渡を命じたのは正当であり、原判決には所論のよう

な違法はない。論旨は所有権に基ずく物上請求権により物の不法占有者に対しその

引渡を求める場合の法理と契約上の債務の履行を求める場合の法理とを混同するも

のであり採るを得ない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとお

り判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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