大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(オ)151 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士間嶋権八の上告理由について。

原判決は、原告(上告人)が請求原因として主張した「被告(被上告人)Bが結

婚後もひそかに被告Dと私通を継続し、原告等の詰問に対し一旦被告Dとの関係を

絶つことを誓約しながら、被告Dとの密会の機会を伺い、関係を継続しているよう

な様子があつたので、訓戒を加えたところ、昭和一六年七月一三日被告Bは原告家

を立ち去り、実家に帰つてしまつた。かようにして被告Bは原告との婚姻予約を破

棄した」との事実は確認することができない旨判示しているのである。しかも、却

つて「被告Bは原告と事実上の婚姻をなした後は原告家にあつて原告及びその両親

によく仕えていたのであるが、昭和一六年五月二三日以前の情夫被告Dが恋々の情

を書きつらねた手紙を被告Bに出したことから、その過去の関係が明らかになり、

媒酌人E、原被告双方の母、及び原被告両名等が原告方に会合して被告の処置を協

議した結果、被告Bは自己の過去の非を陳謝し、今後は一切被告Dと交際しないこ

とを誓い、原告もまた寛容の態度に出で被告Bの過去を許し結婚生活を続けること

となつた。そして被告Bはその後この誓約を忠実に守り、被告Dには一顧も与えな

かつたのであるが、ひとり被告Dにおいて被告Bを忘れることができず、その後も

度々無名又は他人名義で被告Bに通信を寄せたことから、原告は被告Bが依然被告

Dと交際しているように疑い昭和一六年七月一三日被告Bを実家に帰らせた旨」の

事実が認定できるとし、かかる事実関係の下にあつては、原告としては被告Dをこ

そ責めるべきで、被告Bを去らすべきではないと判示し、被告Bに婚姻予約不履行

の責あることを前提とする本訴請求を排斥したのである。そして前示原判旨は正当

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であり且、その事実認定も原判決挙示の証拠に照らしこれを肯認することができる。

論旨は畢竟事実審がその裁量の範囲内で適法になした証拠の取捨判断を論難し延

いてその事実認定を非難するに帰着し、上告適法の理由とならない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 真 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

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