最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)1109 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人懸樋正雄上告趣意第一点について。
しかし、未決勾留は、その名の示すごとく未だ有罪、無罪の決定しない者に対し
審理の必要上為される刑事訴訟手続上の自由の拘束であつて、もとより刑罰の執行
ではない。従つて、その目的も、拘束の場所も、その処遇も、その効果も刑罰の執
行と異なるものである。たゞ自由拘束の一点において自由刑の執行と類似するとこ
ろあるが故に刑法二一条は、裁判所に対し諸般の事情を参酌してその勾留日数の全
部又は一部を本刑に算入することを許容するに過ぎない。そして、その法理は新憲
法下においても毫も変更を認めることはできない。もとより無用、不当の未決勾留
を許すべきでないこと勿論であるが、さりとて、訴訟の審理上必要な未決勾留日数
を常に本刑に通算すべき法律上及び実際上の理由も存しない。それ故所論は採るこ
とができない。
同第二点について。
しかし、刑の執行猶予を為すと否とは、刑を言渡す裁判所が諸般の事情を考慮し
て決すべき任意事項であつて、法律上必然これを為さねばならぬ法則の存しないこ
と、従つて旧刑訴三六〇条二項所定の事由ともならないことは、刑法二五条の明文
上明白で、一点の疑も容れない。それ故所論は採ることができない。
よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
検察官 長部謹吾関与
昭和二四年一〇月一三日
最高裁判所第一小法廷
- 1 -
裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 沢 田 竹 治 郎
裁判官 真 野 毅
裁判官 岩 松 三 郎
- 2 -