最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)2134 判決
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告人両名弁護人井本台吉上告趣意第一点について。
本件公判請求書の犯罪事実として所論のように窃盗の事実が記載され、また罪名
の表示にも住居侵入強盗傷人の外窃盗と記載されていることは所論のとおりである。
しかし、第一審判決はその法律適用の説明において「……右窃盗並強盗傷人は単一
なる財物奪取行為の各発展段階と見るべきものであるから之を包括的に観察して重
い強盗傷人の一罪が成立するものと解するを相当とする」旨判示しているから第一
審判決は公訴に係る窃盗の事実を独立した犯罪と認めなかつたこと明白である。そ
してこの第一審判決に対する被告人のみの控訴審である原審における検事の公訴事
実の陳述は右第一審判決書理由摘示のとおりであることは記録上明らかなところで
あるから、原審における審判の直接の目的物は強盗傷人の一罪のみであつてこれに
窃盗が含せられていないと認める限り原審は窃盗について何等審理をする必要がな
いものと解するのが相当である。されば原判決には所論のように審判の請求を受け
たる事件についての判断を遺脱し又は判決に示すべき判断を遺脱したという違法は
ない。論旨は理由がない。
同第二点について。
しかし、少年法を改正する法律二条一項では「少年」とは二十歳に満たない者を
いい、また同法六二条では「この法律は、昭和二四年一月一日から、これを施行す
る」と定めてはいるが、同法六八条一項では「この法律施行後一年間、第二条第一
項の規定にかかわらず、少年は、これを一八才に満たない者とし、成人はこれを満
十八才以上の者とする」と定めているのであるから、原審が被告人Aは一八才に満
たない少年である旨判示ししかも同人に、新少年法第五二条を適用したのは正当で
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あつて原判決には所論のような違法はない。論旨は理由がない。
被告人Aの上告趣意について。
所論は被告人の本件犯行をなすに至る迄の経過、動機、犯行後の心境等を縷述し
て寛大な処分を求めるというのであつて、事実審たる原裁判所の裁量に属する刑の
量定を非難するにとどまるものであるから上告適法の理由とならない。
被告人Bの上告趣意について。
所論、縷述するところは要するに、被告人は本件犯行の主動的地位に立つた者で
なく、共犯者に引きずられて犯したものであり、傷害は殺意にいでたものでなく、
使用した庖丁は刃渡り六、七寸の使用にたえないものであると主張し且つ最近の健
康状態及び家庭の生活事情等を述べて寛大な処分を求めるというのであつて、事実
審たる原裁判所の裁量に属する事実の認定刑の量定を非難するに帰するから上告適
法の理由とならない。
よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
検察官 長部謹吾関与
昭和二四年一一月一七日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 沢 田 竹 治 郎
裁判官 真 野 毅
裁判官 齋 藤 悠 輔
裁判官 岩 松 三 郎
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