大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)2210 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人阪口亮人上告趣意第一点について。

しかし、原判決は「被告人両名(被告人C同A)は、……出征中の徴発行為を思

い出し挙銃を使つて強盗をしょうと企て……

第一被告人両名は右Bを加え共謀の上、(一)昭和二一年一一月二四日午後六時

ごろ……(二)同年同月三〇日午後七時ごろ、A、B両名はそれぞれ実包を装填し

た前記ブローニング拳銃及び九四式拳銃を携え前同様Cの運転する前記自動車に同

乗して、市川市ab番地D方に至りCは、同家附近に駐車中の自動車に待機して見

張をしA、B両名は、それぞれ持つて居たタオルやマフラーで覆面した上、同家の

屋内に侵入し、右Dに対し拳銃を突き付け、又はこれを発射し「金を出せ出さぬと

ぶつぱなすぞ」と脅迫し、その抵抗を抑圧して、同人所有の現金一万五千円位を強

取し」と判示しているのであるから被告人は原審相被告人A第一審相被告人Bと判

示強盗を共謀し且つ被害者の居宅附近まで同人等を運搬し見張をしていたものであ

る。そして右判示第一の二の事実の認定は原判決挙示の証拠によつてこれを肯認す

ることができその間違法はない。ところで強盗の共謀をした者はたとい自ら暴行脅

迫強取等の強盗行為を分担しなくても、他の共謀者がした右強盗行為によつて自己

の犯罪遂行の意思を実現したものと認められる以上なお共同正犯としての罪責を免

れることのできないものであることは当裁判所屡次の判決に示すとおりであるから

たとい被告人において右強盗行為を分担しなかつたとしても判示のように強盗の共

謀をし且つ見張をしていた以上被告人は判示強盗の共謀者たる原審相被告人A第一

審相被告人B等がした強盗の共同正犯たる罪責を免れることができないものといわ

なければならぬ。されば原審が判示事実に対して刑法二三六条一項同六〇条を適用

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し被告人を処断したからといつて、原判決には所論のように擬律錯誤の違法は存し

ない。論旨はそれ故理由がない。

同第二点について。

しかし、証拠の取捨乃至証拠調の限度は法令の範囲内において事実審たる原裁判

所の裁量に委せられていることがらである。されば原審相被告人Aの原審公判廷に

おける「被告人Cは見張をしていた」旨の供述を採るか、それとも、被告人の同公

廷における「見張をしていない」旨の供述を採るかは、事実審たる原裁判所の裁重

権に属するところであつて、必ずしも所論のような検証をした上でなければその採

否を決定し得ないという筋合のものではない。そして原判示事実は原判決挙示の証

拠によりこれを肯認することができる従つて原判決には所論の不法は存しない。所

論は上告適法の理由とならぬ。よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 長部謹吾関与

昭和二五年一月一九日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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