大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)2522 判決

主 文

本件再上告を棄却する。

理 由

弁護人山根滝蔵再上告趣意について。

論旨第一点、第三点は第二審裁判所において弁護人がした盗難被害届の署名人A

の証人喚問の申請を却下しながら、同裁判所が右盗難被害届の記載を証拠に採つて

断罪したのは刑訴応急措置法一二条一項、憲法三七条二項に違反するものであるに

かかわらず原上告審が右第二審判決を是認したのは前示各条項に違反するものであ

るというのである。しかし、第二審公判廷において弁護人が証人として右Aの喚問

を申請した唯一の趣旨が「被害金額を明にする為め」であつたことは記録(一〇一

丁裏)上明らかなところである。そして第二審判決が所論の盗難被害届を証拠に採

つたのは判示物件の窃盗の事実を認定する一資料に供したのにとどまつて、被害金

額の認定資料としていないことは第二審判決の判示において被害金額の認定が全然

なされていないことから窺知できる。そして盗犯において被害品の価格のごときは

特別の場合を除いては犯罪の内容を特定せしめるに必要欠くへからざる要素である

ということはできない。さればかかる被害品の価格についての証人申請を却下しな

がら価格に関係のない事実について喚問申請の却下された証人の提出した被害届の

記載を証拠に採つたからといつて第二審判決は毫も前記各条項並びに論旨第二点に

引用する当裁判所の判例に違反するものではないといわねばならぬ。されば右第二

審判決を是認した原上告判決には所論のような違法は存しない。論旨は採ることが

できない。

よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 長谷川瀏関与

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昭和二五年二月九日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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