大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)253 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人A弁護人鈴木一郎上告趣意第一点について。

刑の量定は事実審裁判所の裁量に委ねられているところである。所論は結局事実

審である原審がその裁量権の範囲内で適法になした量刑を非難するに帰着し上告適

法の理由とならない。

同第二点について。

酌量減軽をするか否か、又刑の執行猶予を言渡すか否かは、専ら事実審裁判所が

各場合における犯情を斟酌して裁定すべきものである。唯被告人の立場において酌

量減軽をなし且つ執行猶予の言渡をなすのが至当だと考えられるというだけでは、

その措置に出でなかつた原判決に所論のような法令違反があるとはいい得ない。論

旨は畢竟事実審である原審の裁量権に属する刑の量定を非難するに帰着し上告適法

の理由とならない。

被告人B弁護人鈴木一郎上告趣意第一点について。

所論原審認定の共謀の事実は、原判決挙示の証拠により証明するに足るものと認

められる。原判決には所論のような違法はなく、論旨は結局事実審である原審の裁

量権に属する事実の認定を非難するに帰し上告適法の理由とならない。

同第二点について。

記録によると、原審が事実認定の資料とした被告人Bの原審公判廷における供述

中には、自分はCから日本刀を示されこれを使つて泥棒に行くことを誘われたので

あるが、以前Cと喧嘩をした際同人が日本刀を持つて来たことがあるので同人の申

出を断ると何をするか判らぬという心配もあり、また当時金に不自由もしていたの

でCの云ふことを承知して一緒に強盗に行くことになつた旨の陳述がある。そして

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この供述によれば同被告人がCと本件犯行を共にするに至つたのは、Cの威圧がそ

の一因をなしていたものの如く見えないこともないのである。しかし、Cが右申出

をなした際、もし被告人がそれを承諾しなければ被告人の生命身体等に危害を加え

られるというような緊急の状態にあつたこと、またこれがために被告人がCに追従

して他家に押入り強盗を働くより外にその危難を避くる方途がなかつたこと等の事

情を窺い得る証跡は存立しないのである。従つて被告人の本件犯行を緊急避難又は

少くともその過剰行為と認定すべかりしものであると主張する所論には賛同するこ

とはできない。論旨は結局事実審である原審がその裁量権の範囲内で適法になした

事実の認定を非難し、延いてその量刑の不当を主張するに帰着し上告適法の理由と

なすに足りない。

同第三点について。

所論は被告人Aのために同弁護人が主張する論旨第二点と同趣旨である。その上

告適法の理由とならないものであること、右論旨に対する説明により了解し得るで

あろう。

被告人B弁護人三宅清上告趣意第一点について。

しかし、被告人Bが相被告人A等と共謀の上本件強盗を敢行したとする原審の事

実認定は、原判決挙示の証拠に照らし、これを肯認するに難くないのである。所論

は畢竟事実審である原審の裁量権に属する事実の認定を非難するに帰着し上告適法

の理由とならない。

同第二点について。

原審は被告人Bが数名共謀の上強盗をなした事実を認定し、しかも被告人に対し

てはその情状憫諒すべきものありとし酌量減刑をして懲役四年の刑を言渡したので

ある。所論は原審が被告人に対しその上執行猶予の言渡をしなかつたことを捉えて

その人権を尊重しないものであり、憲法一三条に違反すると主張するのである。し

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かし、前説示の通り刑の執行猶予を言渡すか否かは事実審裁判所が各場合の犯情に

鑑み裁定すべきものなのである。原審が被告人に対し実刑を科し執行猶予の言渡を

しなかつたのはこれを相当でないと認めたことによるものと察せられるのであつて、

その間法令違反のかどを発見し得ない。そして執行猶予の言渡をしないという一事

は必ずしも憲法一三条により保障せられている個人の尊厳を侵すものでないことは、

当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第二〇一号、同年三月二四

日大法廷判決及び同年(れ)第九五〇号、同年一〇月二一日第一小法廷判決参照)。

論旨は理由なきものである。

よつて旧刑訴四四六条に従い主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 長部謹吾関与

昭和二四年七月一四日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

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