大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)2567 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人両名弁護人桑原五郎の上告趣意について。

第一点(A) 犯罪の日時は、特別の事情がある場合を除いては証拠により説明

しなければならない犯罪事実に属しないこと、及び数個の証拠のうち一部において

相互に牴触する部分があつても、実験則に反しない限りその全部を綜合して事実を

認定するも差支えないことはすでに判例に示すとおりである(判例集二巻一三号一

八一六頁、同三巻二号二三八頁)。所論上申書には一二月下旬頃とあるが、被告人

等は原審公判廷においては事実認定と同様に一二月上旬と供述している。この点の

証拠判断は原審の裁量に属し、所論の違法はない。また公訴は一二月上旬として起

訴しているのであるから、所論のように審判の請求を受けない事実について審判を

したという違法はないのである。

(B) 所論の点につき被害上申書と被告人等との供述は、数量等において多少

の差異はあるが、原審公判廷における被告人等の自白に基き判示事実を認定したこ

とに違法はない。論旨は、それ故に採るを得ない。

第二点所論は証拠が存在しないと主張するのであるが、原判決の掲げる証拠によ

つて判示共同暴行の所為を認定できないわけではない。結局原審の裁量に属する証

拠の判断を非難するに帰し、適法な上告理由とは認め難い。また所論のように「床

に手をつき身体を支える前に支をなさしめる」ことが全く被害者の任意になしたも

のであるならば暴行には当らないであろうけれども、そうではなく「生意気なとて

共同して手拳で殴打し」「床に手をつき身体を支える」ことを力でなさしめられ殴

打し易き態勢におかれたものであることは判文上認められるから、この全体を本件

暴行と認めたことは特に違法として非難するには当らない。論旨は、それ故採るを

- 1 -

得ない。

よつて旧刑訴四四六条に従い裁判官全員の一致した意見で主文のとおり判決する。

検察官 安平政吉関与

昭和二六年三月一五日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 眞 野 毅

裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!