大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(れ)2766 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人小泉英一、同溝淵春次、同船内正一上告趣意第一点について。

原審第四回公判調書中記録六八九丁裏と同六九〇丁表との間に裁判所書記の契印

がないことは所論のとおりである。しかし、右六八九丁裏には同六九〇丁表にある

裁判所書記名下の捺印と同一の印影の訂正印存し且つ右二下め文字の墨色、筆跡は

同一であり、書類の形式、内容等に脉絡があることが認められる。されば右二丁は

同一公判調書としての連続を認めることができるから、所論は、その前提において

採用し難い。

同第二点について。

しかし、判決において説明すべき証拠上の理由は、如何なる証拠によつて罪とな

るべき事実を認めたかの確実な証拠上の根拠を示すを以て足るものであるから、第

一審公判調書中の供述記載を証拠として挙示した以上、その供述の内容をなす公判

請求書又は聴取書等の記載を挙示しなくとも違法といえないものである(昭和二三

年(れ)一四五九号同二四年二月八日第三小法廷判決参照)。そして、本件第一審

第二回公判調書中のAの供述記載を見るに、同人は所論追公判請求書の記載と相侯

つて供与の趣旨その他原判示第一の(一)同趣旨の供述をしたものと解される。ま

た、所論被告人に対する検事の聴取書中の供述記載並びに第一審第二回公判調書中

のBの供述記載もすべて原判決引用の趣旨と同一であると解し得られる。そして、

これらの供述記載を綜合すれば、原判示の事実認定を肯認することができる。され

ば、所論は、結局原審の裁量に属する証拠の判断を非難するに帰し採用し難い。

同第三点について。

しかし、第一審公判調書中のAの供述記載を見るに所論追公判請求書の記載と相

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俟つて原判示第一の(二)と同趣旨の供述をしたものと解される。また、第一審第

四回公判調書中の証人Cの供述記載並びにDに対する検事の聴取書中の供述記載は、

いずれも原判決引用の趣旨と同一であると解し得られる。そして、右各供述記載の

外原判決挙示のその他の証拠を綜合すれば原判決の認定を肯認することができるか

ら、本論旨も採用し難い。

同第四点について。

しかし、原判決は、判示第二事実を認定するのに、被告人の自白のみを唯一の証

拠としたものではなく、第一審第二回の公判調書中の相被告人Aの判示同趣旨の供

述記載をも綜合して認定したものである。そして、かゝる相被告人の供述記載が被

告人の自白を補強する証拠たりうることは当裁判所大法廷の判例とするところであ

る。(昭和二三年(れ)七七号同二四年五月一八日大法廷判決参照)それ故、所論

は当らない。

同筆五点について。

しかし、憲法三七条二項後段の規定は、刑事被告人が自己のために強制的手続に

より証人を求める権利を行使するのに費用上の理由によりこれを阻止しないよう保

障したに止り、被告人が有罪の判決を受けた場合に証人の喚問に要した費用の負担

を命ずることを禁ずる趣旨ではない。従つて、旧刑訴二三七条は右憲法の条項に違

反するものでないことは当裁判所大法廷全員一致の判例とするところであるから(

昭和二三年(れ)三一六号同年一二月二七日大法廷判決参照)所論は採るを得ない。

同第六点について。

しかし、原判決の判示は、選挙違反の行為並びに業務上横領の行為は、それぞれ

犯意継続に係る趣旨と解せられる。それ故所論は当らない。

よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

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検察官 竹原精太郎関与

昭和二五年六月八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 田 中 耕 太 部

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

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